第15条【人種等を理由とする差別からの保護】、第16条【基本的権利及び自由の制約】、第17条【緊急事態に関する宣言】
第2章【個人の基本的権利及び自由の保護】
第15条 本条第4項、第5項及び第7項の規定に従い、いかなる法律も、それ自体又はその効果において差別的な規定を設けてはならない。
2 本条第6項、第7項及び第8項の規定に従い、何人も、成文法に基づき、又は公職若しくは公的機関の職務の遂行において行為する者により、差別的な方法で処遇されてはならない。
3 本条において「差別的」とは、人種、部族、出身地、政治的意見、肌の色、信条又は性別による、それぞれの属性を全部の、又は主要な原因として、異なる者に異なる処遇をすることであり、ある属性の者が、他の属性の者が受けない障害若しくは制限を受け、又は他の属性の者に付与されない特権若しくは利益を付与されることを意味する。
4 本条第1項は、その法律が以下の事項を規定する範囲において、いかなる法律にも適用されないものとする。
(a)公的歳入又はその他の公的資金の配分。
(b)ボツワナ市民でない者に関する事項。
(c)養子縁組、婚姻、離婚、埋葬、死亡時の財産の相続、又はその他の属人法に関する事項。
(d)特定の人種、コミュニティ又は部族の構成員の場合に、その他の者の場合に適用されるその事項に関する法律を排除するか否かにかかわりなく、その事項に関する慣習法を適用すること。
(e)本条第3項に規定する者は、その性質及びその者に関する特別な事情を考慮して、民主主義社会において合理的に正当化される、障害若しくは制限を受け、又は特権若しくは利益を付与されることができる。
5 いかなる法律に含まれる規定も、公務員若しくは規律ある部隊の隊員、又は地方政府若しくは法律により直接設立された団体の、服務のための資格に関して合理的な規定を設ける範囲において、本条第1項に抵触するものとはみなされない。
6 本条第2項は、本条第4項又は第5項に定める法律の規定によって、明示的又は含意的に実施が認められる事項には適用されない。
7 いかなる法律の規定又はそれに基づく行為も、その法律が、本条第3項に規定する者が、この憲法の第9条、第11条、第12条、第13条及び第14条により保障される権利及び自由に対する制限を受けることを可能にする規定を設ける範囲において、本条に抵触するものとはみなされない。それは、第9条第2項、第11条第5項、第12条第2項、第13条第2項又は第14条第3項により認められる制限である。
8 本条第2項のいかなる規定も、この憲法又はその他の法律によって与えられる、裁判所における民事又は刑事訴訟の提起、遂行又は中止に関する裁量に影響を与えるものではない。
9 いかなる法律の規定又はそれに基づく行為も、以下の場合には、本条に抵触するものとはみなされない。
(a)その法律が、この憲法が施行される直前において効力を有し、かつ、この憲法が施行された後も引き続き効力を有する場合。
(b)その法律が、この憲法が施行される直前から現在に至るまで、成文法に含まれる規定を廃止及び再制定する範囲において。
第16条 いかなる法律の規定又はそれに基づく行為も、その法律が、ボツワナが戦争状態にある期間、又はこの憲法の第17条に基づく宣言が効力を有する期間中に存在する状況に対処するために、合理的に正当化される措置を講じることを認める範囲において、この憲法の第5条又は第15条に抵触するものとはみなされない。
2 本条第1項に規定する権限によって拘束される場合には、以下の規定が適用されるものとする。
(a)その者に対し、合理的に可能な限り速やかに、いかなる場合にも、拘束の開始後5日を超えない期間内に、その者が理解する言語により、拘束されている理由を詳細に明示した告知書を交付しなければならない。
(b)拘束の開始後14日を超えない期間内に、その者が拘束されている旨、及びその者の拘束が許可されている法律の規定の詳細を記載した通知を官報に掲載しなければならない。
(c)拘束の開始後1か月を超えない期間内に、及びその後の拘束期間中6か月を超えない間隔で、首席裁判官が任命する、ボツワナの弁護士として登録される資格を有する者が裁判長を務める、法律により設置された独立かつ公平な裁判によって、その者の事案が審査されるものとする。
(d)その者は、自己の費用で、訴訟代理人に相談及び指示するための合理的な便宜を与えられなければならない。本人及びその訴訟代理人は、事案の審査のために任命された裁判に対し、書面若しくは口頭で、又はその両方で、意見を表明することを許されるものとする。
3 拘束された者の事案について、本条に従って裁判が審査する場合、裁判は、その拘束を継続する必要性又は有用性について、その拘束を命令した機関に対して勧告することができる。ただし、法律に特別の定めがある場合を除いて、その機関は勧告に従う義務を負わないものとする。
第17条 大統領は、官報に掲載される布告により、いつでも、緊急事態が存在することを宣言することができる。
2 本条第1項に基づく宣言は、速やかに取り消す場合を除いて、以下の期限にその効力を失うものとする。ただし、その期間が満了する前に、国民議会が、投票する全議員の過半数の賛成によって可決した決議により、承認した場合はこの限りでない。
(a)国会が開かれているとき、又は7日以内に召集されるときに宣言された場合、宣言が掲載された日から起算して7日を経過したとき。
(b)それ以外の場合、宣言が掲載された日から起算して21日を経過したとき。
3 本条第4項の規定に従い、本条第2項に基づく国民議会の決議によって承認された宣言は、その承認された日から起算して6か月の期間が経過するまで、又はその決議において指定されるそれより前の日まで、引き続き効力を有するものとする。ただし、国民議会は、投票する全議員の過半数の支持を得た決議によって、宣言の承認を一度に6か月を超えない期間延長することができる。
4 国民議会は、本条に基づき国民議会が承認した宣言を、いつでも決議により取り消すことができる。