『異世界転生者はブラックサンダー使い【第3章】』第4節
『氷河期世代のおっさんだけど、異世界転生したらブラックサンダーの能力を付与された件』
第3章 西方の宿屋
第4節 再び始まりの森へ
私はその後、南方の旧共和国領、北方の帝国、そして西方の魔王軍統治領をぐるぐると旅して回った。数年もすると旅にも飽きたので、スタート地点の森の奥深くに自分で小屋を建て、そこで一人静かに暮らしていた。
その後十年が経った。帝国と魔王軍の同盟は破棄された。
帝国内で、魔王軍との同盟に反対する勢力がクーデターを起こしたのだ。
あの邪悪な皇帝は、幽閉された後に、密かに毒殺された。
そして、まだ年若い皇子が担ぎ出されて、新しい皇帝として即位した。
その間、旧共和国領内の反乱軍が結集して、共和国の首都を奪還した。
首都を奪還してから十年後、共和国は旧領をほぼ回復した。
私がいてもいなくても、世界は回り、歴史は進む。
そう考えれば、元の世界もこちらの世界も、同じようなものだ。
60代になった私は、ある日、自宅の小屋の中で突然、胸が痛くなり、そのまま倒れて死んでしまった。
さて、こちらの世界で死んでしまった後に、私は元の世界に戻ることができたのだろうか?
残念だが、この余白はそれを書き記すには狭すぎる。
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