宇奈月温泉事件。
1 宇奈月温泉
テレビを見ていたら宇奈月温泉を特集していた。温泉や旅館の料理はもちろん、特産品や観光スポットが紹介され、とても魅力的なところのようだ。
ところで、宇奈月温泉は大学の法学部で勉強したことがある人、あるいは法律系の資格の勉強のために民法の基礎を学んだことがある人の間では有名なところでもある。
宇奈月温泉事件である。
宇奈月温泉事件と聞くと、法律に興味のない普通の人は、テレビの2時間サスペンスドラマのようなものを想像するかもしれないけれど、別に殺人事件が起きて船越英一郎が事件を解決するような類の事件ではない。
2 宇奈月温泉事件
事件の概要はそんなに難しい話ではないので、下記の記事を一読すれば理解できると思う。・宇奈月温泉事件(ウィキペディア)
・法律を勉強した人なら誰でも知っている「宇奈月温泉事件」ってどんな事件?(シェアしたくなる法律相談所)
3 権利の濫用
民法第1条に関する判例であり、法律の勉強が三日坊主で終わった人でも、この基本原則は覚えているかもしれない。第3項の権利濫用禁止の法理は、何かの法律に違反している訳ではないけれど、そんな無茶苦茶な主張を通す訳にはいかないというときに用いられたりするものである。
このような規定は一般条項といわれるのだけれど、よく考えると、こんな規定を根拠に私権を制限できるのであれば、裁判官の好き嫌いで勝手に判断できるので、こんなものが法律なのかと思う人もいるかもしれない。
よって、このような一般条項は伝家の宝刀であるので、やたらめったら抜いてはいけないと教えられるのである。
乱暴に言ってしまえば、「常識で考えろ、分かるだろ、空気読めよ」の世界なのであるけれど、こういう一般条項のようなものがないとうまく調整できないのも、人の世の常なのかもしれない。
4 民法の講義で
大学の民法の講義の内容などもはや忘却の彼方なのだけれど、宇奈月温泉事件についてはしょうもないことを一つ覚えている。好々爺のような担当教授がこの事件を紹介しながら、「昔、仲間と一緒にこの温泉に行ったことがあるけれど、至って普通の温泉でした」とつぶやいたのが、少しおもしろかった。
高校や大学の授業や講義の内容など、時が経てばほとんど忘れてしまうけれど、こういうどうでもいいエピソードだけは案外忘れずに覚えていたりするものである。