80年の孤独。
1 孤独とは何か
先進国の社会が少子高齢化していて、旧来の価値観が揺らいでいる。かつては結婚して子どもを育てるのが普通だったけれど、今は生涯結婚しない人も珍しくない。
一応付言しておくけれど、結婚したり子育てをすることは、尊敬するべき立派な生き方であることに変わりはないと、個人的には思っている。
しかし、近い将来、そういうことを経験するかしないかが、個人の人生における趣向の違いに過ぎなくなる可能性もある。
パートナーがいない人は孤独で寂しいとか、そういう偏見も少しずつ解消されていくと思う。
人が、パートナーがいない人は不幸だと思ってしまう理由は、進化心理学的に説明できるそうだ。
孤独が苦にならない人は、パートナーがいなくても平気なので、子どもを残さないで生涯を終えてしまう。
孤独が苦になる人は、パートナーを得て結果的に子を残す。
進化の結果として、孤独を苦にする人が命をつないで遺伝子を残す。
なるほど、完璧なロジックである。
2 孤独死の誤解
少子高齢化の結果、今後ますます、一人暮らしの方々の孤独死が増加するだろう。孤独死については、多くの人が単純な誤解をしている。
パートナーや子どもがいないかわいそうな人が、孤独死するのだという誤解である。
孤独死するのは、孤独でかわいそうな人たちではなく(そういう人もいるだろうけれど)、普通にそれなりに幸せな人生を歩んできた人たちである。
結婚していても配偶者に先立たれれば、一人暮らしになる。
子どもがいたとしても、別のところに住んでいるケースはよくあることだろう。
親と同居する子どもは親孝行で立派だとは思うけれど、親子と言えども、別々に暮らした方がお互いにとってよい場合も多い。
3 死因
地域の福祉関係者が注意を払う高齢者よりも、一人暮らしの中年の方たちの方が孤独死リスクは高いかもしれない。会社勤めなら、部屋で倒れて死んでしまっても、会社の同僚が気付いてその日の内に発見されるだろう。
しかし、何らかの理由で失職中の中年の方は、アパートなどを借りて一人暮らしをしている場合、部屋で倒れて死んでしまうと、死体が腐るまで発見されないことになるかもしれない。
心配なら、万が一のための何らかの方策を考えておいたほうがよい。
人間の死因第1位は、30代までは自殺だけれど、40代から自殺ではなく、病気で死んでしまう人の割合の方が多くなる。
たまに中年の有名人が、心筋梗塞や脳梗塞で突然死んでしまってニュースになることがある。
40歳を過ぎたら、食事や働き方など健康に留意しないと、本当に他人事ではなくなってしまう。
そういうことを多少意識して、人生を振り返ってみたほうがよいと思う。
4 心配すべきは幸せな高齢者
少し逆説的な言い方をすれば、死後のことを心配するべきなのは、配偶者や子どもに恵まれた幸せな高齢者たちの方である。少し宗教的な説教になるけれど、人間は一人で生まれて、一人で死んでいく。
寂しいからといって、死ぬ時に誰かを道連れに殺すことはできないだろう。
そして、死んでしまえばその瞬間に全てが終わる。
お金も地位も名誉も、あの世に持っていくことはできない。
貴方が立派な人生を歩んだのであれば、お金や事業や子どもが残されるだろう。
お金と子どもが残されるのであれば、死後のことを多少心配しておく必要がある。
相続が争続になるという話は、本当によくある話である。
5 争続対策
私は介護をしたんだからとか、あなたは大学に行かせてもらったでしょとか、あなたは嫁に行くときたくさんお金をもらったでしょとか、お兄さんは会社を継いだでしょとか、私はこの家に住み続けたいとか、あなたは家を建てるときお金をたくさんもらったでしょとか、あなたの子どもが留学するときたくさんお金をもらったでしょとか、私は近所に住んで日常生活をサポートしてたんだからとか・・・秘密の借金やら、愛人やその子どもやら、ドラマみたいな話も結構身近にあるかもしれない。
何かいろいろ思い当たることがある人は、遺言やエンディングノートを用意するなりしておかないと、残された人々が勝手にけんかを始めるかもしれない。
死んだ後のことは知らない、どうでもいいという生き方も、それはそれでよいとは思うけれど・・・