第106条【立法権行使の方法】、第107条【遡及立法】、第108条【財政事項の処理】
第10章【立法府】
第2節【議会の手続き】
第106条 議会の法律制定権は、議会が可決し、大統領が承認する法案によって行使されるものとする。
2 この憲法の第108条(a)に規定する法案以外のいかなる法案も、以下の場合を除いて、議会に提出することはできないものとする。
(a)法案の方針及び原則、既存の法律の不備、その不備に対処するための救済策、並びにその提案の必要性を詳細に説明する解説文書が添付されていること。
(b)議会に提出される日の14日前までに、官報によって公告されていること。
3 全国首長会議に影響を与える法案は、全国首長会議に事前に照会しなければ、議会に提出することはできないものとする。
4 法案の第1読会の際には、この憲法の第103条に基づき任命された関連委員会に付託され、その委員会は法案を詳細に審議し、委員会が適当又は必要と認める場合、その法案に関するあらゆる調査を行うものとする。
5 法案が関連委員会によって審議された場合、その法案は議会に報告されるものとする。
6 委員会の報告は、法案の解説文書と共に、議会による修正の有無にかかわらず、その法案の可決又は否決のための十分な審議の基礎を形成するものとする。
7 議会で可決された法案が大統領の承認を得るために送付された場合、大統領は、送付後7日以内に、法案を承認又は拒否する旨の署名を議長に対して行うものとする。ただし、その法案が、この憲法の第90条の規定に基づき、大統領によって国務会議に付託された場合はこの限りでない。
8 大統領は、法案の承認を拒否した場合、その後14日以内に、
(a)議長への覚書で、修正案を含む、議会で再審議する必要があると思料する法案の具体的な条項を記述するものとする。
(b)この憲法の第90条に基づき、審議及び意見のために法案を国務会議に付託したことを、議長に通知するものする。
9 議会は、本条第8項の規定に基づき、大統領又は国務会議の意見を考慮して、法案を再審議するものとする。
10 本条第9項の規定に基づいて再審議された法案が、議会の総議員の3分の2以上の賛成により可決された場合、大統領は、その後30日以内にその法案を承認しなければならない。
11 議会が法律の施行を延期する権限を損なうことなく、法案は、この憲法の規定に従って適正に可決及び承認されるまでは法律とならず、官報によって公告しない限り施行されないものとする。
12 第7項から第10項までの規定は、議長がこの憲法の第108条の規定を適用する法案であると認定した場合、適用しないものとする。大統領は、その法案が送付された場合、承認するものとする。
13 特定の法案が緊急の性質を有することを、そのために任命された議会の委員会が決定した場合、本条第1項及び第2項(a)を除く前各項の規定は適用されないものとする。大統領は、その法案が送付された場合、承認するものとする。
14 大統領により議会に提出された法案は、議会のいかなる委員会においても、3か月を超えて遅延させてはならないものとする。
第107条 議会は、以下の法律を制定する権限を有しない。
(a)裁判所の決定又は判決を、それに服する当事者間において変更する法律。
(b)遡及的に運用され、個人的権利及び自由に制限を課し、若しくは不利益を与え、又は負担、義務若しくは責任を課する法律。ただし、この憲法の第178条から第182条までの規定に基づき制定された法律は、この限りでない。
第108条 議会は、大統領によって法案又は動議が提出される場合を除いて、以下の事項を行うことはできないものとする。
(a)以下の事項を規定すると議長が認める法案及びその修正案について、審議を続行すること。
(i)税金の賦課又は減額以外の税金の変更。
(ii)統合基金若しくはガーナのその他の公的基金に対する請求又は減額以外の請求の変更。
(iii)統合基金又はガーナのその他の公的基金からの、統合基金の負担とされない金銭の支払い、発行若しくは引出し、又は支払い、発行若しくは引出しの増額。
(iv)ガーナ政府による債務の整理又は免除。
(b)本条(a)の事項を規定する効果を有すると議長が認める動議及びその修正案について、審議を続行すること。