第129条【人権・良き統治委員会】、第130条【人権・良き統治委員会の任務】、第131条【委員会の権限及びその職務の手続き】
第6章【人権・良き統治委員会、公的指導者倫理事務局】
第1部【人権・良き統治委員会】
第129条 人権・良き統治委員会と称する委員会を設置する。その職務はこの憲法の第130条の定めるところによる。
2 人権・良き統治委員会は、以下の委員によって構成される。
(a)委員長。裁判官として任命される資格を有する者。
(b)副委員長。委員長が連合共和国のある地域の出身である場合、その他の者は連合共和国のその他の地域の出身とする原則に基づいて任命される。
(c)5人以内のその他の委員。人権、法律、行政、政治又は社会問題に関する技能、経験及び幅広い知識を有する者の中から任命される。
(d)副委員
3 全ての委員及び副委員は、指名委員会と協議の上で、大統領が任命するものとする。
4 本条の目的のために、以下の委員によって構成される指名委員会を設置する。
(a)控訴裁判所首席裁判官
(b)国民議会議長
(c)ザンジバル首席裁判官
(d)代議院議長
(e)司法副長官。この委員会の書記官とする。
5 委員長、副委員長及びその他の委員は、それぞれ3年間在任するものとし、1期3年間のみ再任することができる。
6 委員を利益相反から保護するために、委員に任命された者は、政党の役職又は議会によって制定された法律の定める役職を直ちに放棄しなければならない。
7 委員又は副委員は、任務の執行不能、病気若しくはその他の理由、又は委員の行動規範に関係する不正行為を理由とする場合に限り、解任することができる。
8 委員会は、委員に欠員が生じた場合又は委員の1人が欠席した場合であっても、その職務を執行することができる。
第130条 人権・良き統治委員会は以下の職務を執行する。
(a)憲法及び国法に従い、人権の保護及び国民に対する義務について、全国的に啓発すること。
(b)人権侵害全般に関する苦情を受け付けること。
(c)人権侵害及び良き統治の原則違反に関する調査を行うこと。
(d)人権及び良き統治に関する調査を実施し、全国的な教育を行い、国民に普及させること。
(e)必要な場合には、人権侵害を防止するために、又は人権侵害若しくは良き統治の原則違反によって生じた権利を回復するために、訴訟を提起すること。
(f)任務の通常の遂行又は職務権限の濫用に関して、関係者及び関係機関の行為を調査すること。
(g)人権及び良き統治に関して、政府及びその他の公的機関並びに民間部門に助言を行うこと。
(h)委員会に出頭した個人及び種々の機関の間の調停及び和解を促進及び強化するために、必要な活動を行うこと。
2 委員会は自律的な部局であり、本条のその他の規定を損なうことなく、この憲法に従ってその権限を行使する場合、委員会は、いかなる個人若しくは政府のいかなる部局の指示若しくは命令、又はいかなる政党、公的機関若しくは民間機関のいかなる意見にも従う義務を負わないものとする。
3 第2項の規定は、大統領が委員会に対して指示若しくは命令を与えることを制限するものと解釈してはならない。また、何らかの事項又は状況に関して、公共の利益のために必要であると大統領が認めた場合に、指示又は命令に従わない権利を委員会に付与するものでもない。
4 委員会は、本条及び議会によって制定された法律の規定に従って調査を実施し、大統領が調査を実施するよう指示したときはいつでも、関係者又は関係機関の行為を調査するものとする。同様に、大統領が委員会に調査を実施しないよう指示した場合を除いて、委員会は、職務権限を濫用し、職務権限若しくは機関の職務を悪用し、又は人権及び良き統治の原則に違反した疑いがある、本条の規定に関係する関係者又は機関の行為を調査する必要があると認めるときはいつでも、調査を実施することができる。
5 委員会は、本条又はこの憲法の本章の目的のために議会によって制定された法律の規定に従い、裁判官、治安判事又は裁判所の決定がその職務権限の行使の過程においてなされたものである場合には、その決定を調査する権限を有しない。同様に、委員会は、法律に従って設置された裁判の決定がその職務の執行においてなされたものである場合には、その決定を調査する権限を有しない。
6 本条の規定は、連合共和国政府及びザンジバル革命政府の業務に従事する者、公務を処理する政党の職員及び指導者、連合共和国政府及びザンジバル革命政府の全ての委員会の委員及び職員、並びに半官半民の組織及びその他の公的若しくは私的な機関、企業、コミュニティ、団体、受託者又はその他の制度に、議会によって制定された法律の定めるところにより、適用される。ただし、これらの規定は、この憲法の第46条又は1984年ザンジバル憲法第36条の規定に従う場合を除いて、ザンジバル革命政府の大統領又は指導者には適用されないものとする。
第131条 本条のその他の規定を損なうことなく、議会は、この憲法の本章の規定に従い、委員会の権限、その業務を遂行するための手続き、並びにその委員及び職員が法的な制約を受けることなく、任務を執行することができるようにするための法的免責に関する規定を定める目的で、法律を制定することができる。
2 委員会は、その職務を執行する目的で、以下の事項を調査しないものとする。
(a)裁判所又は裁判において審理中の事項。
(b)政府と外国政府又は国際機関との関係又は協力に関する事項。
(c)大統領が赦免を与える権限に関する事項。
(d)法律に定めるその他の事項。
3 いずれの会計年度においても、委員会は、以下の事項に関する報告書を作成し、人権問題担当大臣に提出するものとする。大臣は、提出された報告書を受領した後、可能な限り速やかに国民議会に提出しなければならない。
(a)前年度における委員会の活動。
(b)連合共和国における人権保護の実施。
4 第3項の規定は、委員会がその他の報告書を個人又はその他の機関に提出することを制限するものと解釈してはならない。