第29条【基本的な権利及び義務】、第30条【基本的な権利、自由及び義務の制限、行使及び保護】
第1章【連合共和国、政党、国民、社会主義及び自立の政策】
第3部【基本的権利及び義務】
第6節【一般規定】
第29条 連合共和国の全ての者は基本的人権を享有し、憲法の本章第3部第12条から第28条までに規定する、社会に対する義務を全ての者が履行することによって生じる利益を享有する権利を有する。
2 連合共和国の全ての者は、連合共和国の法律の下で平等に保護される権利を有する。
3 連合共和国の国民は、その血統、伝統又は世襲に基づいて、権利、身分又は特別の地位を有しない。
4 いかなる法律であれ、血統、伝統又は世襲に基づいて、連合共和国の国民に何らかの権利、身分又は特別の地位を付与することを、ここに禁止する。
5 全ての者がこの憲法の保障する権利及び自由から利益を受けることができるよう、全ての者は、他人の権利及び自由又は公共の利益を侵害しない方法により、自己及び自己の業務を遂行する義務を負う。
第30条 この憲法に定める原則である人権及び自由は、他者の権利及び自由又は公共の利益を妨害又は制限するような方法で行使してはならない。
2 権利、自由及び義務の原則を定めるこの憲法の第3部に含まれる規定は、既存の法律を違法とするものではない。また、法律の制定又は以下の目的を有する法律に従った合法的な行為を禁止するものでもないことを、ここに宣言する。
(a)個人の自由及び権利の不当な行使によって、その他の国民の権利及び自由又は公共の利益が損なわれないように保障すること。
(b)公共の利益を増進する目的で、防衛、公共の安全、平和、公衆道徳、公衆衛生、農村及び都市開発計画、鉱物の採掘及び利用、又はその他の利益の財産の増進及び開発を保障すること。
(c)民事又は刑事上の事案について下された、裁判所の判決又は命令の執行を保障すること。
(d)他者の名誉、権利及び自由、若しくは裁判手続の関係者のプライバシーを保護し、機密情報の開示を禁止し、又は裁判所の尊厳、権威及び独立性を保護すること。
(e)国内の民間団体及び組織の結成、運営及び活動に制限を課し、監督し、管理すること。
(f)国益全般を増進又は保全する、その他のあらゆる事項の実施を可能にすること。
3 本章第3部の規定又は自己の権利若しくは義務に関する法律の規定が、連合共和国内の者により侵害され、又はその恐れがあると主張する者は、高等裁判所において救済手続を開始することができる。
4 この憲法のその他の規定に従い、高等裁判所は、本条に基づき同裁判所に提訴されたあらゆる事案について、審理及び判決を行う第一審管轄権を有する。国家機関は、以下の目的のために法律を制定することができる。
(a)本条に基づく訴訟を開始するための手続きを規定すること。
(b)本条に基づいて開始された訴訟の審理に関する、高等裁判所の権限を規定すること。
(c)高等裁判所の権限の効果的な実行、この憲法に従った権利、自由及び義務の保全及び執行を保障すること。
5 いかなる訴訟においても、制定された法律又は政府若しくはその他の機関が講じた行為が、この憲法の第12条から第29条までに規定される基本的権利、自由及び義務のいずれかを破棄又は制限するものであると主張され、高等裁判所が、当該法律又は行為がこの憲法に抵触する範囲において無効であり、又はこの憲法に違反すると認めた場合、高等裁判所は、適当であれば、又は状況若しくは公共の利益が要請するのであれば、当該法律又は行為が無効であると宣言する代わりに、政府又はその他の関係機関に、高等裁判所の定める期間及び方法により、当該法律又は行為に含まれる瑕疵を是正する機会を与えることを決定する権限を有する。当該法律又は行為は、その瑕疵が是正されるか、又は高等裁判所の定める期間が経過するまで、有効であるとみなされる。