第31条【権利及び自由からの逸脱】、第32条【緊急事態を宣言する権限】
第1章【連合共和国、政党、国民、社会主義及び自立の政策】
第3部【基本的権利及び義務】
第7節【国家機関の特別権限】
第31条 第30条第2項の規定を除いて、議会によって制定されたいかなる法律も、国家の安全を脅かし、又は損なう活動に従事していると思料される者に関して、緊急事態の間又は平時に措置を講じることを可能にするものであって、当該措置がこの憲法の第14条及び第15条の規定を逸脱するものであることのみを理由として、無効となるものではない。
2 本条第1項の措置は、緊急事態の間又は平時において、いかなる法律に基づくものであれ、いかなる者に関するものであれ、これを講じることをここに禁止する。ただし、緊急事態の間に存在する状況に対処するために、又は平時において関係者の行為によって引き起こされた状況に対処するために必要かつ正当な範囲において、この限りでない。
3 本条の規定は、戦争行為による死亡の場合を除いて、個人の生きる権利を奪うことを認めるものではないことを、ここに宣言する。
4 本条及び次条において「緊急事態」とは、第32条により大統領に付与された権限の行使として、大統領によって発せられた緊急事態宣言が効力を有する期間を意味する。
第32条 この憲法又はそのために議会が制定する法律に従い、大統領は、連合共和国又はその一部において緊急事態を宣言することができる。
2 大統領は、以下の場合に限り、緊急事態を宣言することができる。
(a)連合共和国が戦争状態にある場合。
(b)連合共和国が侵略され、戦争状態に陥る現実的な危険がある場合。
(c)連合共和国又はその一部において、秩序及び治安を回復するために非常措置を講じる必要があるほどに、公共の秩序が破壊され、又は公共の安全が失われている実情がある場合。
(d)明白かつ重大な危険があり、非常時の権限を発動しない限り、連合共和国又はその一部における公共の秩序の崩壊及び公共の安全の喪失が避けられない場合。
(e)連合共和国の社会又はその一部を脅かす危険、災害又は環境への災難の発生が差し迫っている場合。
(f)国家にとって明らかに脅威となる何らかの危険がある場合。
3 連合共和国全域、タンザニア本土全域、又はタンザニア・ザンジバル全域に関して緊急事態が宣言された場合、大統領はその宣言の写しを直ちに国民議会議長に送付する。議長は、国民議会の政府案件責任者と協議した後、14日以内に国民議会の会議を召集し、状況を検討し、大統領によって発令された緊急事態宣言を支持する決議を、総議員の3分の2以上の賛成で可決するか否かを決定しなければならない。
4 議会は、第2項(c)、(d)及び(e)に規定する状況が存在し、かつ、当該状況が当該地域の境界を越えて広がっていない場合、連合共和国の特定の地域において政府機能を担当する特定の者が、大統領に対して本条により付与された権限の行使を要請することを可能にする、時期及び手続きを規定する法律を制定することができる。また、緊急事態の間の行政権の行使を規定するために、法律を制定することができる。
5 本条に基づき大統領が発令した宣言は、以下の場合には、その効力を失うものとする。
(a)大統領によって取り消された場合。
(b)第3項に規定する決議が可決されることなく、宣言の日から14日を経過した場合。
(c)宣言の日から6か月を経過した場合。ただし、国民議会は随時、6か月の期間が満了する前に、出席議員の3分の2以上の賛成により可決された決議により、宣言の有効期間をさらに6か月延長することができる。
(d)国民議会が、総議員の3分の2以上の支持を得た決議によって宣言を取り消した場合は、いつでも。
6 本条の規定の解釈又は適用における疑義を避けるために、本条に規定する緊急事態の宣言に関する、議会によって制定された法律及びその他の法律の規定は、緊急事態が宣言された連合共和国の一部にのみ適用されるものとする。