第36条【役職の設置及び役職者の任命権】、第37条【大統領の任務及び職務の遂行】、第38条【大統領選挙】
第2章【連合共和国の行政府】
第1部【大統領】
第36条 この憲法及びその他の法律のその他の規定に従い、大統領は、連合共和国政府の業務に属するあらゆる役職を新設及び廃止する権限を有する。
2 大統領は、政府の部局及び機関の政策策定を担当する指導的地位にある者、並びに連合共和国政府の業務、この憲法又は議会が制定した種々の法律において、これらの部局及び機関の政策実施の監督に責任を負う首席行政官を任命する権限を有する。これらの役職は、大統領の任命によって補充されなければならない。
3 第2項の規定及びこの憲法に含まれるその他の条件並びにその他の関連する法律の規定に従い、連合共和国政府の業務において、指導者又は首席行政官以外の者を任命する権限、これらの者を昇任させる権限、解任する権限、雇用を終了させる権限、及びこれらの権限を付与された者を懲戒する権限は、この憲法又は関係する法律に従い、公務委員会及び職務に関連する権限を有する機関に帰属するものとする。
4 第2項及び第3項の規定は、大統領が公務員及び連合共和国政府の公務の規律を維持するための措置を講じることを禁止するものと解釈してはならない。
第37条 大統領がその任務及び職務を遂行する際に、この憲法及び連合共和国の法律に含まれる規定を遵守することを除いて、大統領は自由であり、何人からも助言を受ける義務はない。ただし、この憲法又はその他の法律により、大統領が個人又は機関から与えられた助言に従って行動することを要請される場合を除く。
2 内閣は、大統領が身体的又は精神的な不調のためにその職務を執行することができないと認める場合、首席裁判官に対し、大統領が身体的又は精神的な不調のためにその職務を執行することができないことを証明するよう求める決議を提出することができる。首席裁判官は、当該決議を受理した場合、タンザニアの医業を規制する法律によって認められた専門家の中から、3人以上で構成される医療委員会を任命し、委員会は事案を調査し、首席裁判官に助言するものとする。首席裁判官は、医学的証拠を検討した後、議長に対し、大統領が身体的又は精神的な不調のためにその職務を執行することができないことを証する証明書を提出することができる。大統領の病状が改善し、職務を再開したという理由により、首席裁判官が7日以内にその証明を取り消さない場合、大統領職は空位とみなされ、第3項に含まれる規定が適用されるものとする。
3 大統領が共和国を不在にする場合、又はその他の理由によってその職務を執行することができない場合、大統領の任務及び職務は、以下のいずれかの者が、指定された順序で執行するものとする。
(a)副大統領。副大統領職が空位の場合、又は副大統領が不在若しくは病気である場合は、次の者。
(b)首相
4 副大統領が不在であることを理由として首相が大統領の任務及び職務を執行している場合、以下のいずれかの事由が生じたときに、首相はその任務及び職務の執行を終了するものとする。
(a)大統領が連合共和国に帰国した場合。又は大統領の病状が改善し、その任務及び職務の執行を再開した場合。
(b)副大統領が連合共和国に帰国した場合。
5 大統領職が死亡、辞任、被選挙権の喪失、身体的不調による職務の遂行不能、又は任務及び職務の不履行によって空位となった場合、副大統領は、第40条に定める条件に従い、5年の任期の満了しない期間、宣誓して大統領に就任するものとする。大統領は、その所属する政党と協議した後、副大統領となる者の氏名を提案し、その任命は、議会の総議員の50パーセント以上の投票により、国民議会で承認されるものとする。
6 以下の場合には、大統領職は空位とみなされず、大統領は連合共和国を不在とし、又は職務を執行することができないとみなされないことを、ここに宣言する。
(a)連合共和国の政府所在地である町からの不在。
(b)24時間の連合共和国からの不在。
(c)体調不良であるが、短期間で回復する見込みである場合。
7 第6項に規定する状況が発生し、その期間中、大統領がその権限を委任することが適当と認める場合、大統領は、その職務を執行するために、本条第3項(a)又は(b)に定める者を任命するよう書面で指示することができる。そのように任命された者は、大統領が指定する条件に従い、大統領の職務を執行するものとする。ただし、本条に定める条件が、その他の法律に基づいて大統領がその職務をその他の者に委任する権限を逸脱又は阻害しない場合を除く。
8 大統領は、その見解において望ましいと認める場合、指定された大統領の職務を執行するよう大臣に書面で指示することができる。指示された大臣は、本項の規定により、その他の法律の規定にかかわらず、大統領の指示に従ってその職務を執行する権限を有する。ただし、
(a)大統領は、法律によってその職務をその他の者に委任する権限を付与されていない場合、連合共和国が締約国である条約の条項から生じる法律によって大統領に付与されたその職務を、本項の規定に従って大臣に委任する権限を有しない。
(b)本項の規定に基づいて大統領が大臣にその職務の執行を指示した場合、大統領自身がその職務を執行することを妨げるものではないことを、ここに宣言する。
9 本条の規定を明確にするために、
(a)大統領の健康状態に関する決議を首席裁判官に提出する目的で行われる閣議は、閣僚の欠席又はその空席にかかわらず有効であり、出席し投票する閣僚の多数決によってその決議が支持される限り、内閣がその決議を可決したものとみなされる。
(b)大統領は、タンザニアのある地域から外国を経由してその他の地域へ移動中であること、又は第7項の規定に従って指示を与え、その指示が取り消されていないことのみを理由として、連合共和国から不在であるとはみなされない。
10 本条の前項までの規定にかかわらず、本条に基づいて大統領の職務を執行する者は、議会を解散する権限、大臣を罷免する権限、又は大統領が任命した人事を取り消す権限を持たないものとする。
11 本条の規定に従って大統領の職務を執行する者が議会の議員である場合、大統領の職務を執行したことのみを理由として、国民議会における議席を失い、又は議員の被選挙権を喪失することはない。
第38条 大統領は、この憲法の規定に従い、議会がこの憲法の規定に従って制定した、大統領の選挙に関する規定を定める法律に従い、国民によって選挙される。
2 この憲法のその他の規定に従い、以下のいずれかの事由が生じた場合、大統領職は空位となり、大統領選挙が実施されるか、又はこの憲法に従って空位が補充されるものとする。
(a)議会の解散。
(b)議会の解散を伴わない大統領の辞任。
(c)大統領の被選挙権の喪失。
(d)この憲法に従い、国民議会による弾劾に伴う大統領の罷免。
(e)この憲法の第37条の規定に基づく、大統領がその職務を執行することができないことの証明。
(f)大統領の死亡。
3 大統領職は、国民議会が首相に対する不信任案を可決したことのみを理由として、空位とみなされることはない。