第95条【管轄及び構成】、第96条【高等法院裁判官の任命】、第97条【高等法院裁判官の任期】
第6章【司法府】
第1節【高等法院】
第95条 ボツワナに高等法院を設置する。高等法院は、法律に基づく民事又は刑事訴訟を審理及び決定する無制限の第一審管轄権、並びにこの憲法又はその他の法律によって付与されるその他の管轄権及び権限を有するものとする。
2 高等法院裁判官は、首席裁判官及び国会の定める人数のその他の裁判官とする。ただし、高等法院裁判官の職は、その実質的な在職者がいる間は、廃止されないものとする。
3 高等法院は、上級の記録裁判所であり、国会が特別の定めをする場合を除いて、上級裁判所の全ての権限を有するものとする。
4 高等法院は、首席裁判官が指定する場所に設置されるものとする。
5 高等法院は、下級裁判所又は軍法会議における民事又は刑事訴訟を監督する管轄権を有し、その裁判所において司法が適正に管理されることを保障するために適切と認める命令を下し、令状を発行し、及び指示を与えることができる。
6 首席裁判官は、本条第5項により付与された管轄権及び権限に関する、高等法院の実務及び手続きに関する規則を制定することができる。
7 首席裁判官は、第6項に基づき制定された規則の見直し及び再検討を支援し、その規則の更新及び修正の提案について助言するために、裁判所規則諮問委員会を任命することができる。
第96条 首席裁判官は大統領が任命するものとする。
2 高等法院のその他の裁判官は、司法公務委員会の助言に従って大統領が任命するものとする。
3 以下に該当しない者は、高等法院裁判官に任命される資格を有しないものとする。
(a)ボツワナ、イギリス連邦加盟国、若しくは国会の定めるイギリス連邦加盟国以外の国において、民事及び刑事に関して無制限の管轄権を有する裁判所、又はその裁判所からの上訴に関して管轄権を有する裁判所の裁判官であるか、又はその職にあった者。
(b)その裁判所において弁護士として執務する資格を有し、その資格を10年以上保有している者。
(c)弁護士として執務する資格を有し、認定された大学で10年以上法学を教授した経験を有する者。
(d)5年以上在職する首席治安判事である者。
4 本条第3項において、弁護士として執務する資格を有する期間を計算する際に、その資格を取得した後に司法上の職務に就いていた期間も含まれるものとする。
5 首席裁判官の職が欠員となった場合、又は首席裁判官が何らかの理由でその職務を遂行できない場合、その職務に任命された者が就任するまで、又は首席裁判官がその職務を再開するまで、その職務は、大統領がそのために任命する高等法院裁判官、又はその他の高等法院裁判官として任命される資格を有する者が遂行するものとする。ただし、
(i)本項に基づき任命される者は、70歳又はこの憲法の第97条の目的のために規定されるその他の年齢に達していても、任命することができる。
(ii)本項に基づき任命された者であって高等法院裁判官でない者は、首席裁判官の職務が引継ぎ又は再開された場合であっても、高等法院裁判官として、それ以前にその裁判官に対して開始された訴訟に関して判決を言い渡し、又はその他の行為をすることができるよう必要な期間及び範囲において、引き続き職務を行うことができる。
6 高等法院裁判官の職が欠員となった場合、その裁判官が首席裁判官に任命された場合、若しくは何らかの理由で職務を遂行できない場合、又は大統領が、首席裁判官と協議した上で、高等法院の業務の状況から裁判官の人数を一時的に増員する必要があると認めた場合、大統領は、司法公務委員会の助言に従って、高等法院裁判官として任命される資格を有する者をその裁判官として任命することができる。ただし、その者は、70歳又はこの憲法の第88条の目的のために規定されるその他の年齢に達していても、任命することができる。
7 本条第6項に基づき高等法院裁判官として任命された者は、この憲法の第97条第4項及び第5項の規定に従い、任命された期間、又はその期間が指定されていない場合には、司法公務委員会の助言に従って大統領により任命が取り消されるまで、引き続きその職務を行うものとする。ただし、大統領は、司法公務委員会の助言に従い、高等法院裁判官としての任命が満了し、又は取り消された者に対し、それ以前にその者に対して開始された訴訟に関して判決を言い渡し、又はその他の行為をすることができるよう必要な期間、引き続きその裁判官として職務を行うことを許可することができる。
第97条 本条の規定に従い、高等法院裁判官は、70歳又は国会の定めるその他の年齢に達したときに、退任するものとする。ただし、大統領は、司法公務委員会の助言に従って、その年齢に達した裁判官が、その年齢に達する前にその裁判官に対して開始された訴訟に関して判決を言い渡し、又はその他の行為をすることができるよう必要な期間、引き続き在職することを許可することができる。
2 高等法院裁判官は、その職務を遂行できない場合(身体又は精神の衰弱に起因するものであるか、その他の原因によるものであるかを問わない)、又は不品行を行った場合に限り解任することができる。高等法院裁判官は、本条の規定に従う場合を除いて、解任されないものとする。
3 大統領が、本条に基づく高等法院裁判官の解任の事案について調査する必要があると認める場合、以下の通りとする。
(a)大統領は、裁判長及び2人以上のその他の裁判官によって構成される裁判を任命するものとする。裁判官は、司法上の高等職務に就く者、又はその職務に就いていた者であるものとする。
(b)裁判は、その事案を調査し、その事実について大統領に報告し、職務を遂行できないこと又は不品行を理由に、本条に基づき裁判官を解任するべきか否かを大統領に助言するものとする。
4 第3項に基づき任命された裁判が、職務を遂行できないこと又は不品行を理由に、高等法院裁判官を解任するべきであると大統領に助言した場合、大統領は裁判官を解任しなければならない。
5 高等法院裁判官の解任の事案が本条第3項に基づく裁判に付託された場合、大統領は、裁判官の職務の遂行を停止することができる。大統領は、その停職処分をいつでも取り消すことができる。裁判が裁判官を解任するべきではないと大統領に助言した場合、その停職処分は効力を失うものとする。