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第100条【連邦司法会議の構成及び任務】、第101条【裁判官及びその書記官並びに連邦司法会議の議員の兼職禁止】、第102条【検察庁、検事総長の任命及び解任、全国人権委員会】

第3編

第4章【司法府】

第100条 連邦司法会議は技術的及び運営的に独立し、決定における独立性を有する連邦司法府の機関である。

 会議は7人の議員によって構成される。これを主宰する最高司法裁判所長官、巡回裁判官及び地区裁判官の中から、8票以上の多数決によって大法廷が任命する3名、元老院が任命する2名、並びに共和国大統領が任命する1名とする。

 全ての議員は、この憲法の第95条に定める要件を満たしていなければならない。その活動の実践において、専門的及び行政的能力、誠実さ、並びに名誉によって卓越した者とする。最高裁判所が任命する議員の場合は、さらに司法分野でも認められた者とする。

 会議は、大法廷又は委員会において職務を執行する。大法廷は、裁判官の任命、承認及び解任、並びに法律の定めるその他の事項について決定するものとする。

 会議の議長を除くその他の議員の任期は5年とし、任期をずらして交代し、再任することはできないものとする。

 議員は任命者を代表するのではなく、独立性及び公平性をもって職務を執行するものとする。任期中は、この憲法の第4編の規定に基づいてのみ解任することができる。

 法律により、公務員の研修及び再教育、並びに卓越性、客観性、公平性、専門性、独立性及びジェンダー平等の原則に基づく、司法官のキャリア開発のための基準を定めるものとする。連邦司法会議は、連邦司法府及びその機関の司法職員及び行政職員の研修、教育及び再教育課程の実施を所管する連邦司法研修所を設置する。また、研修所は、適用される規定に従い、司法府の各種の職務に就くための採用試験を実施するものとする。

 連邦事件における公選弁護は、連邦司法会議が連邦公選弁護機構を通して、適用される規定の定める条件の下で提供する。連邦司法研修所は、公選弁護人の養成及び採用試験の実施を所管するものとする。

 会議は、法律の規定に従い、職務を適正に執行するための一般協定を定める権限を有する。最高司法裁判所は、連邦司法府の職務の適正な執行を保障するために、必要と認める一般協定の制定を会議に要求することができる。また、大法廷は、8票以上の多数決により、会議が承認したものを審査し、必要な場合は取り消すことができる。法律により、これらの権限を行使するための条件及び手続きを定めるものとする。

 会議の決定は、最終的で覆すことはできない。したがって、これに対して訴訟又は上訴を提起することはできない。ただし、裁判官の任命、承認及び解任に関するものは例外とする。最高司法裁判所は、この憲法及び法律の定める規則に従ったものであることを確認するためにのみ、これを審査することができる。

 裁判官の任命に異議を申し立てることはできない。ただし、採用試験の結果に対しては、連邦司法会議の大法廷において異議を申し立てることができる。

 連邦司法会議は、重大な人権侵害を構成する事実に関連する事件を審理するために、1つ以上の管轄機関に集約することができる。集約の適否の決定は、社会的利益及び公共の秩序に基づいて行うものとする。これは順番及び管轄の規則の例外とする。

 最高司法裁判所はその予算を作成し、会議は、この憲法の第99条第7段の規定を損なうことなく、連邦司法府のその他の部分の予算を作成する。作成された予算は、連邦歳出予算案に組み込むために、最高裁判所長官が提出するものとする。最高司法裁判所の管理は、その長官の任務とする。

第101条 最高裁判所裁判官、巡回裁判官、地区裁判官、及びその書記官、連邦司法会議の議員、並びに選挙裁判の上級法廷の裁判官は、いかなる場合も、連邦、連邦構成体又は私人の雇用又は役職に就くことはできない。ただし、科学、教育、文学又は慈善団体における無報酬の役職を除く。

 最高司法裁判所裁判官、巡回裁判官、地区裁判官、連邦司法会議の議員、並びに選挙裁判の上級法廷の裁判官の役職にあった者は、退職の日から2年以内に、連邦司法府の機関の手続きにおいて、支援者、弁護士又は代理人として行動することはできない。

 その期間中、最高裁判所裁判官を務めた者は、臨時又は暫定的に在任した場合を除いて、この憲法の第95条(VI)に規定する役職に就くことはできない。

 本条の禁止事項は、休暇中の司法官にも適用される。

 前段までの規定に違反した場合、法律の定めるその他の罰則にかかわりなく、連邦司法府における役職並びに関連する給付及び利益を喪失することによって処罰されるものとする。

第102条
(A)連邦検察庁は共和国検察総局に組織され、法人格及び独自の財産を有する自律的な公共機関である。

共和国検事総長になる者は、以下の要件を満たさなければならない。:出生によるメキシコ市民であること。任命された日において35歳以上であること。法律の専門職学位を保有し、10年以上の経歴を有すること。良好な評判を享受し、悪意犯罪で有罪判決を受けたことがないこと。

検事総長の任期は9年とし、以下の規定に従って任命及び解任されるものとする。:
(I)検事総長が欠員となった後、共和国元老院は20日以内に、出席議員の3分の2以上の賛成を得て10人以上の候補者名簿を作成し、連邦行政府に送付する。
行政府が前述の期間内に名簿を受領しなかった場合、行政府は自由に候補者名簿を元老院に送付し、検事総長を暫定的に任命する。検事総長は、本条の規定に従って最終的な任命が行われるまで、その職務を執行する。その場合、任命された検事総長を候補者名簿に含めることができる。
(II)行政府は、前項の名簿を受領してから10日以内に、3人の候補者名簿を作成して、元老院に送付し、その審議に付すものとする。
(III)元老院は、候補者名簿に基づき、候補者を聴聞した後、10日以内に、出席議員の3分の2以上の賛成によって検事総長を任命する。
行政府が前項の3人の候補者名簿を送付しない場合、元老院は10日以内に、(I)に規定する名簿の候補者の中から検事総長を任命する。
元老院が前段に規定する期間内に任命しない場合、行政府は、名簿の候補者の中から検事総長を任命するものとする。
(IV)連邦行政府は、法律の定める重大な事由により、検事総長を解任することができる。解任は、10日以内に元老院の出席議員の過半数の賛成によって異議を申し立てることができる。その場合、検事総長は復職して職務を執行するものとする。元老院がこの件について意見を表明しない場合、異議がないものとみなされる。
(V)元老院の休会中、常任委員会は、検事総長の任命、又は解任に対する異議申立てのために、直ちに臨時会を召集する。
(VI)検事総長の欠員は、法律の規定に従って補充されるものとする。

連邦検察庁は、あらゆる連邦犯罪を裁判所に起訴する権限を有する。そのために、被告人に対する予防措置を請求し、法律が犯罪として定める行為への関与を証明する証拠を捜索及び提出し、連邦刑事司法が全て規則正しく運営され、裁判が迅速に進行するようにする。刑罰の適用を請求し、法律の定めるあらゆる事案に関与するものとする。

検察総局は、少なくとも選挙犯罪及び汚職撲滅のための専門検察庁を設置する。その長は、共和国検事総長が任命及び解任する。前述の専門検察官の任命及び解任は、共和国元老院が、法律の定める期間内に、出席議員の3分の2以上の賛成によって異議を申し立てることができる。元老院がこの期間内に意見を表明しない場合、異議がないものとみなされる。

法律により、検察庁の公務員の研修及び再教育、並びに適法性、客観性、効率性、専門性、誠実性及び人権尊重の原則に基づく、専門職のキャリア開発のための基準を定めるものとする。

検事総長は、その活動に関する年次報告書を連邦の立法府及び行政府に提出する。その職務の説明又は報告のために召喚された場合は、議院に出席するものとする。

共和国検事総長及びその代理人は、その職務の結果生じた不正行為、不作為又は法律違反について責任を負うものとする。

(B)連邦議会及び連邦構成体の議会は、その権限の範囲において、メキシコの法制度によって保障される人権を保護するための機関を設置する。この機関は、連邦司法府を除く機関又は公務員が行った行政的性質の行為又は不作為で、これらの権利を侵害するものに対する不服申立てを審理するものとする。

前段の機関は、各機関に対し、拘束力のない公的勧告、告発及び不服申立てを行うものとする。全ての公務員は、この機関から提出された勧告に回答する義務を負う。公表された勧告が機関又は公務員によって受理又は遵守されなかった場合、機関又は公務員は、その拒否の根拠、理由を説明し、公表しなければならない。また、元老院、若しくはその休会中の場合は常任委員会、又は連邦構成体の議会は、この機関の請求に基づき、その拒否の理由を説明させるために、責任ある機関又は公務員をその立法機関に召喚することができる。

この機関は、選挙及び管轄権に関する事項については管轄権を有しない。

連邦議会が設置する機関は、全国人権委員会と称する。委員会は、運営及び予算の自治権、法人格並びに独自の財産を有するものとする。

連邦構成体の憲法により、人権保護機関の自治権を規定及び保障するものとする。

全国人権委員会は、10人の顧問によって構成される諮問機関を設置する。その顧問は、元老院の出席議員の3分の2以上の賛成により、又はその休会中は、連邦議会の常任委員会により、同様の投票によって選出されるものとする。法律により、議院による提案の提出についての手続きを定めるものとする。任期が最長の2人の顧問は、2期目について提案及び承認されない限り、毎年交替するものとする。

全国人権委員会の委員長は、諮問機関の長を兼ねるものとし、前段と同様の条件によって選出される。その任期は5年とし、1度再選することができる。この憲法の第4編の規定に基づいてのみ解任することができる。

全国人権委員会の委員長、諮問機関の長、及び連邦構成体の人権保護機関の長の選出は、法律の定める条件の下で、透明性をもって実施される公開協議の手続きに従うものとする。

全国人権委員会の委員長は、年次活動報告書を連邦府に提出する。そののために、法律の定める条件の下で、各議院に出席するものとする。

全国人権委員会は、連邦構成体のこれに相当する機関の勧告、協定又は不作為に関連して提出された不服申立てを審理するものとする。

全国人権委員会は、それが適切であると判断した場合、又は連邦行政府、連邦議会の各議院、連邦構成体の行政府の長若しくはその議会から要請があった場合、重大な人権侵害を構成する事実について調査することができる。

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