第168条【大統領の責任】、第169条【定められた理由以外での給与の支給の禁止】
第9編【行政権】
第3章【大統領の任務】
第168条 共和国大統領は、大臣又は大臣会議と共に、以下の責任を負う。:(1)国内の秩序及び安寧の維持並びに国外の安全保障。
(2)全軍の最高司令官。
(3)法律に従い、文民及び軍人の退職金を給付し、年金を用意すること。
(4)第7編の規定に従い、既に発行及び流通している全ての法律を遅滞なく発行及び流通させ、執行し、執行させ、その執行に必要な特別規則を制定すること。
(5)通常会の開会中に、共和国の状況並びに注意に値すると認める改善及び改正について、立法府に報告すること。
(6)立法府から提出された法案に対して、第7編に規定する方法で異議又は意見を表明し、その公布を停止し、又はこれに反対すること。
(7)法案又は既存の法律の改正案を議院に提出すること。そのような法案は、緊急審議の宣言を付して提出することができる。
緊急審議の宣言は、各法案の提出と同時に行うものとする。その場合、以下に規定する期間内に立法府によって審議され、その期間内に明確に否決され、代替的な法案が可決されない限り、可決されたものとみなされる。以下の規定に従って処理するものとする。:
(a)行政府は、緊急審議の宣言を付した複数の法案を同時に国会に提出することはできない。また、以前に提出された別の法案の立法府での審議期間が経過している間に、そのような条件の下で新たな法案を提出することもできない。
(b)予算案及び各議院の総議員の5分の3又は3分の2以上の賛成を要する議案の承認は、その資格を有しない。
(c)各議院は、その総議員の5分の3以上の賛成により、緊急審議の宣言を取り消すことができる。その場合、第7編に定める通常の手続きが適用される。
(d)最初に法案を受領した議院は、45日以内にこれを審議するものとする。最初の30日間が経過した後に、議院は、法案を審議するための臨時かつ常設の会議を招集する。法案が明示的に否決されることなく、その招集から15日を経過した後に、行政府によって提出された形でその議院によって可決されたものとみなされ、直ちに、職権で他の議院に通知される。
(e)次の議院は30日以内に意見を表明し、最初の議院が送付したものと異なる条文を可決した場合、これに差し戻し、その議院は15日以内にこれを審議する。この新たな期間が明示的な表明なしに経過した場合、直ちに、職権で国会に提出される。法案が明示的に否決されることなく30日の期間が経過した場合、行政府から提出された形でその議院によって可決されたものとみなされ、直ちに、職権で行政府に通知される。最初の議院が行政府と異なる条文を可決した場合は、同様の方法で最初の議院に通知される。
(f)国会の審議期間は10日間とする。この新たな期間が明示的な表明なしに経過した場合、法案は、それを明示的に可決した最後の議院で議決された形で可決されたものとみなされる。
国会が明示的にそのように表明する場合、第135条に従って行うものとする。
(g)緊急審議の宣言を付した法案がいずれかの議院で否決された場合、第142条の規定が適用される。
(h)最初の議院による審議期間は、立法府が法案を受領した日の翌日から起算する。その後の各期間は、直前の期間の満了時に、又はその期間の満了前に明示的に可決された場合は、その機関が受領した日の翌日から、自動的に開始するものとする。
(8)第104条の規定に従い、召集事項を決定した上で、立法府の臨時会を召集すること。
(9)憲法及び法律に従い、文民及び軍人の官職を補充すること。
(10)不手際、不作為又は犯罪を理由として従業員を解任すること。いかなる場合も、元老院又はその休会中の場合は常任委員会の同意を要する。後者の場合、裁判所に提訴するものとする。また、外交官及び領事館の公務員は、その名声又は国家の威信及びその代表権に影響を与える行為を行った場合、元老院の事前の同意を得て、解任することができる。元老院又は常任委員会が90日以内に確定的な決議を行わない場合、行政府は、解任のために要求される同意を免除される。
(11)法律に従って軍人の昇任を許可すること。大佐及びその他の上級将校の昇任については、元老院又はその休会中の場合は常任委員会の同意を要する。
(12)領事及び外交官を任命すること。ただし、外交使節の長については、元老院又はその休会中の場合は常任委員会の同意を要求する義務を負う。元老院又は常任委員会が60日以内に決議を行わない場合、行政府は、要求される同意を免除される。
大使及び外務大臣の役職は、各議院の総議員の過半数の賛成によって制定された法律に別段の定めがない限り、行政府の特別な信任に属するものとみなされる。
(13)元老院又は常任委員会の同意を得て、裁判所検察官及びその他の共和国検察官を任命すること。この同意は、常に総議員の5分の3以上の賛成によって行うものとする。行政訴訟訟務長官及び政府財務検察官の任命については、同意を要しない。
(14)軍及び警察の従業員並びに法律によって解任することができるその他の者を、自ら解任すること。
(15)外交官を接受し、外国の領事にその職務を執行する権限を付与すること。
(16)仲裁又はその他の平和的手段が戦争回避のために成功しなかった場合、国交断絶を宣言し、国会の決議に基づき、宣戦を布告すること。
(17)外部からの攻撃又は国内の騒乱という重大かつ不測の事態が発生した場合、 迅速な治安措置を講じること。24時間以内に、国会の両議院合同会又は常任委員会に、その内容及び理由を報告し、これらの決議に従うものとする。
人身に関して、迅速な治安措置は、出国を選択しない場合に限り、逮捕又は領内のある場所から別の場所への移送を許可することしかできない。この措置も他の措置と同様に、採択後24時間以内に、国会の両議院合同会又は常任委員会に提出し、その決議に従うものとする。
拘禁は、犯罪者の収容を目的とする施設で行うことはできない。
(18)法律に従い、その下部組織によって徴収される収入を徴収し、それに応じて配分すること。
(19)第14編の規定に従い、予算を作成し、国会に提出し、前の予算による投資に関して報告すること。
(20)批准のために立法府の承認を要する条約を締結及び署名すること。
(21)法律に従って工業特権を付与すること。
(22)銀行の設立を認可又は拒否すること。
(23)司法府の要請に応じて、公安部隊の援助を提供すること。
(24)根拠ある決議により、その政治的責任の下で、適当と認める権限を委任すること。
(25)共和国大統領は、行政府の決議及び通知に、その事項を所管する大臣と共に署名するものとする。署名がなければ、何人もこれに従う義務を負わない。
前述の規定にかかわらず、行政府は、特定の決議について、前述と同様の要件で作成される議事録によって定めることができる。
(26)共和国大統領は、大臣会議においてその職務を代行する長官及び次官を自由に任命することができる。
両官職は、大統領と共に退任するものとする。大統領は、いつでもこれを解任し、又は交替させることができる。
第169条 法律に従い、現役、退職、定年又は年金以外の理由で給与を支給することはできない。
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