第94条【大統領に対する議題の通知】、第95条【政府閣僚の出席権】、第96条【国民議会による法律の可決及び租税の承認】、第97条【法律の可決及び改正の条件】、第98条【法律事項、法律によって基本原則を定める事項】、第99条【財政法、決算法及びプログラム法】、第100条【法律事項以外の性質、この憲法の施行前の条文の政令による改正】、第101条【宣戦布告、戒厳令及び緊急事態】、第102条【国民議会から政府への授権法】、第103条【代議員の修正権】、第104条【法律事項でない議案及び修正案の不許可】、第105条【法律の発議権、国民議会事務局への提出、所管委員会の審査及び本会議での審議】、第106条【法案の審議、委員会による国民議会への注意喚起】、第107条【代議員が提出する議案及び修正案の条件】、第108条【代議員による国民投票の決定】、第109条【財政法案の提出及び採決】、第110条【予算の採決】、第111条【財政法案が会計年度開始までに間に合わない場合】、第112条【国の会計の決算】、第113条【国民議会に対する政府の説明責任、政府の活動に対する国民議会の情報及び監督の手段】
第4編【立法権】
第2章【議会と政府の関係】
第94条 国民議会は、その会議及び委員会の議題を共和国大統領に通知する。第95条 政府の閣僚は、国民議会の会議に出席することができる。代議員、委員会又は閣僚自身の要求により、聴聞を受けることができる。
専門家の援助を受けることができる。
第96条 国民議会は、法律を可決し、租税を承認する。
第97条 法律は、国民議会における単純多数決によって可決される。ただし、この憲法が組織法としての性格を付与する法律は、以下の条件の下で可決及び改正される。:
・法案は、議会事務局に提出されてから15日を経過するまで、審議及び採決のために議会に提出してはならない。
・条文は、議会の議員の絶対多数決によってのみ採択される。
・組織法は、憲法裁判所が憲法に適合すると宣言するまで、公布することができない。
第98条 以下の事項に関する規則は、法律事項とする。:
・市民権、公共の自由の行使のために市民に与えられる市民的権利及び基本的保障並びに国防及び公安の利益のために市民に課される身体及び財産の制約。
・国籍、身分及び能力、婚姻制度、相続及び贈与。
・慣習を認定し、憲法の基本原則と調和させるための手続き。
・犯罪及び軽罪の決定並びにそれらに適用される刑罰。
・恩赦
・全ての階層の裁判所の組織及びその裁判所における手続き、新しい階層の裁判所の設置並びに司法府、省庁及び裁判所職員の地位。
・あらゆる種類の租税の課税標準、税率及び徴収方法。
・通貨発行制度
・共和国大統領、国民議会議員及び地方議会議員の選挙制度。
・公共施設の区分の新設。
・公務員の一般規約。
・軍、公安部隊及びこれに類似する部隊の隊員規約。
・行政の一般組織。
・領域的組織並びに行政区及び選挙区の新設及び変更。
・戒厳令及び緊急事態。
法律により、以下の基本原則を定めるものとする。:
・国防組織
・地方自治体の自由な運営、権限及び財源。
・教育及び科学研究。
・財産、物権並びに民事及び商事の義務の制度。
・企業の国有化及び民営化並びに企業の所有権の公共部門から民間部門への移転。
・労働法、社会保障、労働組合の権利及びストライキの権利。
・国有財産の譲渡及び管理。
・共済及び貯蓄。
・生産組織
・環境保護及び天然資源の保全。
・運輸及び電気通信の制度。
・刑務所制度
第99条(新)
財政法により、国の歳入及び歳出を決定するものとする。
決算法により、その後の会計検査院による国の会計の決算を条件として、財政法の実施を統制するものとする。
プログラム法により、国の経済的及び社会的な活動の目標を定めるものとする。
第100条 法律事項以外は、規制の性質を有する。
この憲法の施行前にその事項に関して制定された条文は、憲法裁判所と協議した上で発行する政令により、改正することができる。
第101条 宣戦布告は、国民議会が許可する。
非常事態の結果、国民議会が正常に開催できない場合、宣戦布告の決定は、共和国大統領が大臣会議において行い、直ちに国民に通知するものとする。
戒厳令及び緊急事態は、国民議会と協議した上で、大臣会議において発行される。
戒厳令又は緊急事態の15日を超える延長は、国民議会のみ許可することができる。
国民議会の意見を求められない場合、前回の戒厳令又は緊急事態の発効日から60日以内は、国民議会の許可なく、戒厳令又は緊急事態を発行することはできない。
第102条 政府は、そのプログラムを実施するために、国民議会に対して、通常の法律事項である措置を、期間を限定して命令によって講じる権限を付与する法律の議決を要求することができる。この授権は、国民議会の議員の3分の2以上の賛成によらなければ承認することができない。
命令は、憲法裁判所と協議した上で、大臣会議において発行される。発行され次第、発効する。ただし、授権法の定める期日までに承認法が議会に提出されなければ失効するものとする。
本条第1項に規定する期間の経過後に、命令の規定のうち立法事項であるものは、法律によってのみ改正することができる。
第103条 代議員は修正権を有する。
第104条 法律事項でない議案及び修正案は認められない。
不許可は、事務局による審議後に、国民議会議長によって宣言される。
議案又は修正案が、この憲法の第102条によって認められる委任に反すると認める場合、政府はその不許可を申し立てることができる。
本条第1項及び第3項に関して紛争が生じた場合、国民議会議長又は政府はこれを憲法裁判所に付託する。同裁判所は、8日以内に判決を下すものとする。
第105条 共和国大統領及び国民議会の議員は、ともに法律の発議権を有する。
法案は、この憲法の第132条に従って付託された最高裁判所が理由を付した意見を表明した後に、大臣会議で審議され、国民議会事務局に提出される。
法案は、本会議での審議に先立ち、国民議会の所管委員会に送付及び審査される。
国民議会の予算案は、事前に同議会事務局に提出されない限り、委員会の審査又は本会議の審議に付すことができない。
第106条 法案の審議は、委員会が提出した条文に基づいて行われる。政府の要求に応じて、政府と意見の相違がある点について、国民議会に注意を喚起しなければならない。
第107条 代議員が提出する議案及び修正案は、その採択が財源の減少又は公的支出の創設若しくは悪化をもたらす場合、収入の増加又は同等の節減に関する提案を伴わない限り、認められない。
第108条 代議員は、4分の3以上の多数決により、あらゆる問題を国民投票に付すことを決定することができる。
第109条 国民議会は、法律の定める条件の下で、財政法案を採決する。財政法案は、10月の会期開始の1週間前までに国民議会に提出される。財政法案により、歳出を全額賄うために必要な歳入を規定しなければならない。
第110条 国民議会は均衡した予算を採決する。国民議会が12月31日までに可決しなかった場合、財政法案の規定は命令によって施行することができる。
政府は、15日以内に臨時会期として召集される国民議会に、承認のために付託するものとする。
この臨時会期が終了するまでに国民議会が予算を可決しなかった場合、予算は命令によって確定される。
第111条 財政法案が会計年度開始前の公布に間に合わない場合、共和国大統領は、暫定的に国の歳入及び歳出の12分の1を執行するために、緊急に国民議会の許可を要求するものとする。
第112条(新)
国民議会は、財政法に関する組織法の定める方式に従い、国の会計の決算を行う。
そのために、会計検査院の支援を受けるものとする。会計検査院は、公的な収入及び支出の執行又は国庫、領域的団体の会計若しくは国に属する若しくはその管理下にある行政機関若しくはその他の機関の会計の管理に関する、あらゆる調査及び研究の責任を負う。
第113条 政府は、国民議会に対して、その運営及び活動に関して要求される、あらゆる説明を行わなければならない。
政府の活動に対する国民議会の情報及び監督の手段は、以下のとおりである。:
・第71条に基づく質問。
・書面による質問。
・審議の有無にかかわりなく、採決を伴わない口頭質問。
・議会調査委員会
これらの手段は、国民議会の内部規則に定める条件に従って行使するものとする。
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