平成26年度愛知県公立高校入試(B)国語問4【古文】
1 原文
俊明卿公事を奉行しける時、次第忘却して随身せざる時は、今案を以て行はれけるに、旧儀に塵ばかりも相違する事なかりけり、と云々。同じ卿仏を造りける時、「薄料に」とて清衡砂金を献ぜしむ、と云々。彼の卿之れを請けずして、即ち之れを返し遣はす、と云々。人子細を問ふに、答へて云はく、
「清衡、王地を押領せしめて、ただ今謀反すべき者なり。
其の時は追討使を遣はすべき由定め申すべきなり。よりて之れを請くべからず」と云々。
(『古事談』より)
2 現代語訳
俊明卿が朝廷の儀式を執り行った時に、手順を忘れてしまって覚書も持ち合わせていなかった場合は、その場で考えた手順で行われたが、先例と少しも相違する事はなかっということだ。俊明卿が仏像を造った時に、「仏像にはる金箔の材料に」と清衡が砂金を献上させたということだ。俊明卿はこれを受け取らず、ただちにこれを返上したということだ。人がその理由を質問したところ、答えて言うことには、
「清衡は、朝廷の土地を奪い取り、今にも謀反を起こそうとしている者である。
その時には追討使を派遣するべきだという意見を会議で申し述べなければならない。したがって、これを受け取るわけにはいかない」ということだ。
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