R6年度第1回高認物理基礎大問3解説
大問3
問1【比熱容量(比熱)】
材質のわからない物体を使い、実験から比熱容量(比熱)を求めることで材質を推定したい。図のように、いま、温度83℃、質量10gの物体を10℃の水50gの中に入れると、全体の温度が13℃になった。
この物体の材質として正しいものはどれか。
ただし、水の比熱容量を4.2J/(g・K)とし、物体と水の間だけで熱の移動がおこるものとする。
また、材質と比熱容量の関係は表のようになっている。・50gの水の温度が$13 - 10 = 3$℃上昇したので、水が材質から得た熱は$4.2 \times 50 \times 3 = 630$(J)
また、10gの材質の温度が$83 - 13 = 70$℃低下したので、材質が水から奪われた熱は$x \times 10 \times 70 = 700x$(J)
$700x = 630$
$x = \dfrac{630}{700} = \dfrac{63}{70} = \dfrac{9}{10} = 0.90$(J/(g・K))
よって、アルミニウムである。
問2【帯電(静電気)】
異なる種類の物体をこすり合わせると、電子が移動し帯電する。電子の移動はこすり合わせた物質の組合せで決まることが知られている。
ガラス、絹、塩化ビニルの3つの素材を用いて実験1と実験2を行った。
実験1:ガラスと絹をこすり合わせるとガラスが正に、絹が負に帯電した。
実験2:絹と塩化ビニルをこすり合わせると絹が正に、塩化ビニルが負に帯電した。
実験1、実験2の結果からわかることをまとめた次の文中の空欄に入る語の組合せとして正しいものはどれか。
ガラスと塩化ビニルをこすり合わせるとガラスが【正】に、塩化ビニルが【負】に帯電する。
問3【電力と直列回路】
電圧が100Vのときに消費される電力が200Wの電球Pと、50Wの電球Qがある。下の会話文の空欄に入る数値の組合せとして正しいものはどれか。
ただし、電球の抵抗は温度によって変化しないものとする。先生:図のように回路を組むと、PとQのどちらが明るく光ると思いますか。
生徒:私はPだと思います。100Vでの消費電力が大きい方が明るいと思います。
先生:電球の明るさは電力に関係しているので、計算してみましょう。
まず、Pの抵抗は電力との関係から50Ωになり、Qの抵抗は【ア】Ωとなりますね。
PとQの合成抵抗を考えると、電流の大きさは0.4Aになりますね。
これからPとQそれぞれの消費電力も計算できますね。
生徒:今回の回路ではPの消費電力が8Wで、Qの消費電力が【イ】Wとなり、Qの方が大きいから明るいはずですね。
先生:実験して確かめてみましょう。
生徒:実験の結果、Qの方が明るく見えました。
(ア)$P = VI$より、50Wの電球Qに100Vの電圧をかけると
$50 = 100I$
$I = \dfrac{50}{100} = \dfrac{1}{2} = 0.5$(A)
$V = RI$より、抵抗$R = \dfrac{V}{I} = \dfrac{100}{0.5} = \dfrac{1000}{5} = 200$(Ω)
(イ)Qにかかる電圧$V_Q = \dfrac{200}{250} \times 100 = \dfrac{4}{5} \times 100 = 80$(V)
Qの消費電力$P_Q = V_Q I = 80 \times 0.4 = 32$(W)
問4【放射線源からの距離と放射線量】
図のように、放射線源(放射線を放出する物質)の放射線量を放射線源からの距離を変えて検出器で測定し、その結果を表に示す。この表から考えられることとして正しいものはどれか。・放射線源からの距離を離していくと、検出器で測定した放射線量は減少している。
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