『おっさん陰陽師の友人は元SKE48(1)【竹井カナ編】』第6章
『氷河期世代のおっさんだけど、陰陽師の力で妖怪事件を解決したら、芸能人(元SKE48)の友人ができた件(1)【竹井カナ編】』
第6章 良いものと悪いもの
「そうですか。あなたにも見えるのであれば、正直に申し上げましょう。悪霊の類ではありません。どのように説明すればよいものか・・・小説やアニメに出てくる妖怪のようなものをイメージすれば、当たらずといえども遠からずでしょうか。」「先生のお噂を聞いたとき、私、思ったんです。もしその先生のお力が本物であれば、アレが見えるのではないかと。そしてアレをどうにかすることができるのではないかと・・・」
「はぁ・・・どうにかできないことはないのですが、アレが良いものならば祓う必要はないでしょう。悪いものならば、もちろん祓った方がよいでしょう。」
「良いものと悪いものがあるんですか?」
「はい。良いもので有名なのが座敷わらしです。」
「それで・・・アレは良いものでしょうか?悪いものでしょうか?」
「カナさんはどう思われるのですか?」
「私、本当によく分からないんです。何度も言いますが、私、先生のようにはっきりと見えていないんだと思います。時々、本当におぼろげに何かが見えるだけなんです。だから、良いものとか悪いものとか、そんな区別ができるようなものだとは思いもしませんでした。」
「そうですか・・・そうですよね。それが普通ですよね。」
「でも、アレが見えるからと言って、特に悪いことが起きたわけではないので、多分・・・少なくとも悪いものではないと思います。良いものであるとは言い切れませんが。」
「そうですか・・・恐らくその理解で正しいと思います。高校生のときからとすると、あなたは10年以上アレと一緒に過ごしてきたわけですから。」
「そうですけど・・・一緒に過ごしてきたと言われましても、何度も言いますが、私にははっきりと見えるわけではないんです。いつも見えるわけではないんです・・・」
「いずれにしても、カナさんがアレをしっかりと見て判断される方がよいでしょう。実際の事件で実験したことがないので、うまくできるかどうかは分かりませんが・・・」
私はカナさんの手を握り、その手を伝って私の力がカナさんの方に流れていくことをイメージしながら、ひたすら念じてみた。
「先生、私にも見えました。」
カナさんはそう言うと、じっとアレを見つめていた。
カナさんの目から、とめどなく涙が流れるばかりであった。
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