『平凡なおっさんだけど霊界探偵に採用されました【第3章】』第5節
『氷河期世代のおっさんだけど、豊川稲荷で道に迷ったら霊界探偵に採用された件』
第3章 黄金のきつね像
第5節 偽のきつね像
「そういえば、きつね像は今、誰が見張っているんだ?」私がきつね像のあった所に戻ってみると、ボスと大谷さんもそこに戻っていた。
「ボス、大谷さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫と言いたいところだが、ミキもマキも取り逃がしてしまった。そして、きつね像は・・・」
きつね像はそこになかった。まんまと盗まれてしまったのだ。
「あぁ、しまった、どうしよう。ボス、どうするんですか?あんな大きな黄金のきつね像、とても弁償できませんよ。誰がどう責任を取れば・・・」
「心配することはありません。あれはただの金メッキ、偽のきつね像です。」
「偽物?じゃあ、本物は??」
「本物がどこにあるのか、誰にも分かりません。私たち霊界探偵とキャッツ・ファングは数百年間ずっと、このような戦いを繰り広げてきたのです。数十年のスパンを置いてですが・・・」
「はぁ・・・そうすると次の機会はまた数十年後ですか。残念です。あともう一歩だったのに。」
「まぁ、そう気を落とさずに。あなたの前任者は、あなたが採用される数年前に亡くなったんです、老衰で。」
「・・・老衰?じゃあ、その前任者は、80・・・90歳まで現役の霊界探偵だったんですか?」
「えぇ。ですから、山本君が生きている間にあと1回くらい、チャンスが訪れるかもしれません。」
私は、自分が90歳の老人探偵となって、死闘を繰り広げる姿を想像してみた。
いやいや・・・さすがに90歳でそんな仕事は無理だろう(´・ω・`)
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