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電気と数学とその本質。

1 「サイン、コサイン、いつ使うん?」

 「サイン、コサイン、いつ使うん?」は、お笑い芸人のネタの一節なのだけれど、三角関数に限らず、卒業後の職業で数学を使う分野を選ばなければ、数学の勉強など高校までとなるだろう。
大学に進学するにしても、文系で数学を使わない分野なら数学が苦手でも大丈夫だし、入試で数学が必要なかったりすれば、受験勉強でも必要なかったりする。

「サイン、コサイン、いつ使うん?」と問われれば、高校で数学を勉強しなければならない、正に「今でしょ!」と答えるしかない。
いくら数学が嫌いでも、授業をボイコットしたり、宿題を無視したり、定期テストを白紙で返す訳にもいかないだろう。

2 電気と数学

 数学の知識が必要な分野としてよく引き合いに出されるのは、電気の世界である。
オームの法則だけ勉強すればそれなりに理解できる直流とは違い、交流は話が少し複雑で、それこそ三角関数が必要になる。

オリヴァー・ヘヴィサイドは、高度な電気数学を創造した、知る人ぞ知る偉人である。
高度な電気数学を理解するためには、数学科の学生や研究者のそれとは違うけれど、それこそ大学数学入門程度まで勉強する必要がある。
数学科の学生や研究者とは違うというのは、純粋数学と応用数学の違いであり、工学部で学ぶのは通常は応用数学までらしい。

これに関してヘヴィサイドは、「数学は実験的科学であり、定義が先にくるわけではない」、「私は消化のプロセスを知らないからといって食事をしないわけではない」といった名言を残している。

3 数学の本質とは

 僕は数学者でも数学研究者でもないのであまり大仰なことは言えないのだけれど、とある学者の受け売りで話せば、数学の本質は「抽象化と論理」であるらしい。

ちなみに、数学者と数学研究者の違いは、哲学者と哲学研究者の違いのようなものであろうか。
大学院まで行って研究するような方々ほど、自分は単に数学を専攻しているだけで、決して数学者ではないと謙遜されたりする。

ちなみに、とある学者の受け売りと言ったけれど、下記の小室直樹先生の著書が一番分かりやすくておもしろいと思う。
数学嫌いな人のための数学―数学原論(Amazon)

今は新しい版で出版されているようなので、興味があれば読んでみればいいと思う。

4 『数学する身体』

 下記の本も、難しい数式が分からなくても読むことができる、おもしろい数学読本である。
数学する身体(Amazon)

著者の森田真生氏は、文系から理系へ、いわゆる理転した異色の経歴の持ち主である。
理系から文系へ、いわゆる文転と比べて、理転は難しいと言われるけれど、決して不可能ではないという勇気を与えてくれる。

もっとも、東京大学の文二から工学部、卒業後やはり東京大学の数学科という、凡人なら相当努力しないと難しい経歴の持ち主とも言えるけれど・・・

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