第36条【公正な裁判】
第4章【基本的権利】
第36条 政府あるいは官憲による、又は政府あるいは官憲に対するいかなる質問又は決定も含めて、市民的権利及び義務の決定について、人は、法律で設立され、その独立性及び公平性を保障するように構成された裁判所又はその他裁判により、相当期間内に公正な審理を受ける権利を有する。
2 本条の前項までの規定を損なうことなく、法律は以下の場合、ある者の市民権及び義務に影響を与え、あるいは影響を与える可能性のある、当該法律の運用において生じる問題を決定する権限を政府又は官憲に与えることのみを理由として、無効とされない。
(a)法律が、権利及び義務に影響を受ける可能性のある者に対して、管理している官憲がその者に影響を及ぼす決定を行う前に、当該官憲に対して陳述する機会を提供する場合。
(b)法律に、管理している官憲の決定を最終的かつ決定的なものとする規定がない場合。
3 本条第1項に掲げる事項に関する裁判所又はその他裁判の訴訟(裁判所又はその他裁判の決定の公表を含む)は、公開で行われるものとする。
4 何人も、刑事犯罪の嫌疑をかけられたときは、嫌疑が取り消されない限り、裁判所又はその他裁判において、相当な期間内に、公開の場で公正な審理を受ける権利を有する。
ただし
(a)裁判所又はその他裁判は、防衛、公安、公序良俗、18歳に満たない者の福祉、当事者の私生活の保護のために、又は公にすることが正義に反する特別の事情により必要と認められる範囲において、当事者又はその法律家以外の者をその手続から排除することができる。
(b)裁判所又はその他裁判における訴訟において、連邦政府の大臣又は州政府の委員により、ある事項が公に開示されることが公共の利益にならないと裁判所又はその他裁判に認められた場合、裁判所又はその他裁判は、その事項に関する証拠が非公開で審理されるよう手配し、その事項の開示を防ぐために必要あるいは有用な他の措置を講じなければならない。
5 刑事犯罪の嫌疑をかけられた者は、有罪と証明されるまでは、すべて無罪と推定される。
ただし、本条は、法律が特定の事実を証明する責任をその者に課していることのみを理由として、いかなる法律をも無効とするものではない。
6 刑事犯罪の嫌疑をかけられた者は、以下の権利を有する。
(a)犯罪の性質について詳細に、理解できる言語で、速やかに知らされること。
(b)弁護の準備のために十分な時間と設備が与えられること。
(c)自ら、あるいは自ら選んだ法律家により、自分自身を弁護すること。
(d)検察官により召喚された証人を、自らあるいは法律家により裁判所又はその他裁判で尋問すること。また、検察官により召喚された証人に適用される条件と同一の条件で、自己のために裁判所又はその他裁判で証言する証人の出席を求め、尋問すること。
(e)犯罪の裁判に使用される言語を理解することができない場合には、無償で通訳の援助を受けること。
7 何人も刑事犯罪の裁判を受けるときは、裁判所又はその他裁判は、訴訟の記録を保存し、被告人又はその代理人は、事件の終了後7日以内にその判決の写しを取得する権利を有する。
8 何人も、その行われた時に犯罪を構成しなかった作為又は不作為を理由として、刑事犯罪で有罪とされることはない。また、いかなる刑事犯罪に対しても、その犯罪が行われた時に有効な刑罰よりも重い刑罰を課されることはない。
9 刑事犯罪について管轄権を有する裁判所又はその他裁判により裁判を受け、有罪又は無罪判決を受けたことを示す者は、上級裁判所の命令による場合を除き、再びその犯罪あるいはその犯罪と同一の性質を有する刑事犯罪について、裁判を受けることはない。
10 刑事犯罪について赦免されたことを示す者は、再びその犯罪について裁判を受けることはない。
11 刑事犯罪の裁判を受ける者は、その裁判において証拠を提出することを強制されることはない。
12 この憲法に特別の定めのある場合を除いては、何人も、犯罪が法律で定義され、かつ、その刑罰が定められていない限り、刑事犯罪により有罪となることはない。この項において、法律とは、国民議会の法律、州の法律、法律の規定による補足的立法又は文書のことをいう。