第131条【大統領の権限】、第132条【大統領の役割】、第133条【恩赦の権限】

第９章【行政部】

第２部【大統領及び副大統領】

第131条　大統領は、
（a）国家元首及び政府代表である。
（b）副大統領及び閣僚の補佐を得て、共和国の行政権を行使する。
（c）ケニア国防軍の最高司令官である。
（d）国家安全保障会議の議長である。
（e）国民統合の象徴である。
２　大統領は、
（a）この憲法を尊重、遵守及び保護しなければならない。
（b）共和国の主権を保護しなければならない。
（c）国民統合を推進及び向上するものとする。
（d）ケニア国民及びコミュニティの多様性の尊重を促進するものとする。
（e）人権及び基本的自由の保護並びに法の支配を保障しなければならない。
３　大統領は、他のいかなる国家公務員又は公職も兼ねることができない。

第132条　大統領は、
（a）新たに選挙された各議会の開催に際して演説を行うものとする。
（b）毎年１回、議会の特別会で演説し、その他いつでも議会で演説することができる。
（c）毎年１回、
　（i）国民に対する演説において、第10条において規定する国家的価値の実現のために、講じたすべての措置及び達成された進歩について報告しなければならない。
　（ii）（i）に基づく措置及び進歩の詳細を官報で公示するものとする。
　（iii）共和国の国際的な義務の履行の進捗について、下院に報告書を送付し、討議させるものとする。
２　大統領は、以下の者を、指名及び下院の同意を得た上で任命するものとし、並びに解任することができる。
（a）第152条により、閣僚。
（b）第156条により、司法長官。
（c）第154条により、内閣官房長官。
（d）第155条により、首席秘書官。
（e）高等弁務官、大使、外交官及び領事代理。
（f）この憲法に従い、この憲法が大統領に任命又は解任を要求又は授権するその他の国家公務員又は公職。
３　大統領は、
（a）閣議の議長である。
（b）各省庁の権限を指揮及び調整するものとする。
（c）官報に公示された決定により、議会の法律と抵触しない範囲において、議会の法律の施行及び運用の責任を、閣僚に委任するものとする。
４　大統領は、以下の事項を実施することができる。
（a）この憲法又は国家の法律に規定する、その他の行政権限を行使すること、及びこの憲法に別段の定めがある場合を除いて、公務委員会の勧告に従って、公務員の役職を設けること。
（b）外国の外交及び領事代理の接受。
（c）国民及び共和国の名において栄誉を授与すること。
（d）第58条に従い、緊急事態を宣言すること。
（e）議会の承認を得て、宣戦布告すること。
５　大統領は、関連する閣僚の活動によって、共和国の国際的な義務の履行を保障するものとする。

第133条　何人かの請願がある場合、大統領は、第２項に基づき設置された諮問委員会の助言に従って、以下の方法で恩赦の権限を行使することができる。
（a）犯罪で有罪判決を受けた者に、無償又は条件付きで恩赦を与えること。
（b）刑罰の執行を一定期間又は無期限に延期すること。
（c）刑罰をより軽いものに変更すること。
（d）刑罰の全部又は一部を免除すること。
２　恩赦の権限に関する諮問委員会を設置し、以下の構成とする。
（a）司法長官
（b）矯正事業を所管する閣僚。
（c）国家公務員又は公務に従事する者ではない、議会の法律で規定する５名以上の他の委員。
３　議会は、以下の事項を規定する法律を制定しなければならない。
（a）諮問委員会の委員の任期。
（b）諮問委員会の手続き。
（c）諮問委員会が助言を策定する際に適用する基準。
４　諮問委員会は、大統領への勧告を検討している犯罪の、被害者の意見を参考にすることができる。

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