第19条【権利及び基本的自由】、第20条【基本的人権の適用】、第21条【権利及び基本的自由の実行】
第４章【基本的人権】
第１部【基本的人権に関する総則】
第19条 基本的人権は、ケニアの民主主義国家に不可欠なものであり、社会的、経済的及び文化的政策の骨格をなすものである。
２ 人権及び基本的自由を承認及び保護する目的は、個人及びコミュニティの尊厳を保持し、並びに社会正義及びあらゆる人間の潜在能力の実現を促進することである。
３ 基本的人権に属する権利及び基本的自由は、
（a）各個人に帰属するものであり、国家が付与するものではない。
（b）法律により認められ又は付与された、基本的人権以外の他の権利及び基本的自由を、本章と抵触する場合を除き排除するものではない。
（c）この憲法が定める制限にのみ従う。
第20条 基本的人権はすべての法律に適用され、すべての国家機関及びすべての者を拘束する。
２ すべて人は、権利又は基本的自由の性質に適合する最大限の範囲において、基本的人権に属する権利及び基本的自由を享受する。
３ 基本的人権の規定を適用する場合、裁判所は、
（a）法律が権利又は基本的自由を有効にしない範囲において、当該法律に展開するものする。
（b）権利又は基本的自由の行使を最も有利にする解釈を採用する。
４ 基本的人権の規定を解釈する場合、裁判所、裁判その他の官憲は、以下の事項を推進するものとする。
（a）人間の尊厳、平等、公平及び自由に基づく開かれた民主的社会の基盤である価値。
（b）基本的人権の精神、趣旨及び目的。
５ 第43条に基づく権利を適用する場合において、国家が権利を実行するための資源を有していないと主張するとき、裁判所、裁判その他の官憲は、以下の原則に従うものとする。
（a）資源を有していないことを証明するのは、国家の責任である。
（b）資源を配分するに際し、国家は特定の集団又は個人の脆弱性を含む実情を考慮し、権利又は基本的自由の最も広範囲にわたる享有を保障することを優先するものとする。
（c）裁判所、裁判その他の官憲は、異なる結論に達したであろうという理由のみで、利用可能な資源の配分に関する国家機関の決定を妨害してはならない。
第21条 基本的人権に属する権利及び基本的自由を遵守、尊重、保護、促進及び実現することは、国家及びすべての国家機関の基本的責務である。
２ 国家は、第43条の規定により保障された権利の実現を推進するため、基準の設定を含む立法、政策及びその他の施策を実施するものとする。
３ すべての国家機関及びすべての公務員は、女性、高齢者、障害者、子ども、若者、少数民族又は社会から孤立したコミュニティの構成員、特定の民族、宗教又は文化的コミュニティの構成員などの、社会的弱者の要望に応える責務を負う。
４ 国家は、人権及び基本的自由に関する国際的な責務を履行するため、法律を制定、実施するものとする。