第18条【住居及びその他の財産のプライバシー保護】、第19条【公正な裁判】、第20条【財産の侵奪からの保護】
第5章【基本的人権及び自由】
第1節【総則】
第18条 全ての者は、単独で又は他人と共同して、財産を所有する権利を有する。
2 何人も、その住居、財産又は通信のプライバシーを侵害されることはない。ただし、法律に従い、自由及び民主的社会において公共の安全又は国家の経済的福利のため、健康若しくは道徳の保護のため、騒乱若しくは犯罪の予防のため、又は他者の権利若しくは自由を保護するために必要である場合は、この限りでない。
第19条 刑事犯罪の訴追を受ける者は、合理的な期間内に、裁判所による公正な審理を受けるものとする。
2 刑事犯罪の訴追を受ける者は、以下のとおりとする。
(a)重大な反逆罪又は反逆罪以外の犯罪で、その刑罰が死刑又は終身刑である場合、裁判官及び陪審員による裁判を受けるものとする。
(i)刑罰が死刑の場合、陪審員の評決は、全員一致によるものとする。
(ii)終身刑の場合、陪審員の評決は、議会が法律により定める多数決によるものとする。
(b)州裁判所で審理することができる犯罪で、その刑罰が死刑の場合、裁判長及びその他の裁判員の決定は、全会一致によるものとする。
(c)立証されるか、又は有罪を認めるまで、無罪と推定される。
(d)訴追された犯罪について、その者が理解できる言語で、詳細に、直ちに告知されるものとする。
(e)弁護の準備のために十分な時間及び便益を与えられるものとする。
(f)自ら又は自己が選択する弁護士により、裁判において弁護をすることが認められるものとする。
(g)検察が裁判所に召喚した証人を、自ら又は弁護士により尋問する機会を与えられるものとする。また、検察が召喚した証人に適用されるものと同一の条件で、証人の出頭を求め、尋問する機会を与えられるものとする。
(h)裁判で使用される言語を理解することができない場合、その者の負担なしに、通訳人の援助を受けることが許されるものとする。
(i)重大な反逆罪又は反逆罪の場合、3名の裁判官により適正に構成される高等裁判所が裁判を行い、裁判官の決定は全員一致によるものとする。
3 刑事犯罪の訴追を受ける者の裁判は、以下の場合を除いて、本人の出席の下で行わなければならない。
(a)裁判の適正な通知を受けた後、自己の出席の下で行われる裁判のために裁判所に出頭することを拒否した場合。
(b)その者が、その出席の下での手続きの継続を困難にするような方法で行動し、裁判所が、その者の不在の下で裁判を続行するため、その者を退出させるよう命じた場合。
4 刑事犯罪の裁判を受ける者は、被告人又はその委任を受けた者が求める場合はいつでも、判決後6か月を超えない相当期間内に、被告人の利用に供するために作成された裁判所の訴訟記録の写しの交付を受けるものとする。
5 何人も、その実行の時に犯罪を構成しなかった作為又は不作為によって、刑事犯罪の責任を追及され、又は有罪とされることはない。
6 いかなる刑罰も、その程度又は内容において、犯罪の実行時に当該犯罪に対して科することができた最高刑よりも重い刑罰を科してはならない。
7 刑事犯罪について管轄裁判所の裁判を受け、有罪判決を受け又は無罪判決を受けたことを証する者は、有罪判決又は無罪判決に関する上訴手続又は再審手続の過程において上級裁判所の命令による場合を除いて、再びその犯罪について、又はその裁判において有罪判決を受けることが可能であったその他の刑事犯罪について裁判を受けることはない。
8 本条第7項の規定にかかわらず、重大な反逆罪又は反逆罪の裁判における無罪判決は、その者に対するその他の犯罪のための手続きの開始を妨げるものではない。
9 本条第2項(a)及び(b)の規定は、軍法会議又はその他の軍事裁判による裁判の場合には適用されない。
10 刑事犯罪の裁判を受ける者は、裁判において証拠を提出するよう強制されない。
11 何人も、成文法にその犯罪及び刑罰が定められていない限り、刑事犯罪として有罪とされることはない。
12 本条第11項は、上級裁判所が、成文法に侮辱を構成する作為又は不作為並びにその刑罰が定められていない場合にも、侮辱を理由として処罰することを妨げない。
13 民事上の権利又は義務の存在又は範囲を決定するための裁定機関は、この憲法の規定に従い、法律により設置され、独立かつ公平でなければならない。裁決機関において裁決のための手続きが開始される場合、その事案は、合理的な期間内に公正な審理を受けるものとする。
14 公共道徳、公共の安全又は公共の秩序のために裁定機関が特別に命じる場合を除いて、裁定機関の手続きは公開されるものとする。
15 本条は、裁定機関が、手続きの当事者及びその弁護士以外の者を、以下の範囲内で手続きから排除することを妨げるものではない。
(a)公表が司法の利益を損なうような状況において、裁定機関が必要又は適切であると認める範囲。
(b)国防、公共の安全、公共の秩序、公共道徳、18歳未満の者の福祉又は手続関係者の私生活の保護のために、裁定機関が法律により権限を付与される範囲。
16 いかなる法律又はそれに基づく行為も、以下の規定と矛盾又は違反するものとはみなされない。
(a)本条第2項(c)。刑事犯罪の訴追を受けた者に特定の事実を証明する責任を課している範囲内において。
(b)本条第7項。規律ある軍隊の構成員を、軍隊の懲戒法に基づく当該構成員の裁判及び有罪判決又は無罪判決にかかわらず、刑事犯罪について裁判する権限を裁判所に付与する範囲内において。ただし、当該構成員の裁判において、有罪判決及びその刑罰を科する場合に、その懲戒法に基づき当該構成員に科された刑罰を勘案するものとする。
17 本条第18項に従い、反逆罪は以下の場合にのみ成立するものとする。
(a)ガーナに対して戦争を起こすこと、国家若しくは個人を支援すること、又はガーナに対して戦争を起こすことを煽動若しくは共謀すること。
(b)この憲法により又はこの憲法に基づいて設立された政府機関を、武力又はその他の暴力的手段により、転覆させようとすること。
(c)そのような企てに参加若しくは関与すること、又はそのような企てに参加若しくは関与する者を扇動若しくは共謀すること。
18 憲法上の手段により法律又は政府の政策の変更を企図する行為は、政府機関の転覆を目的とする行為とみなしてはならない。
19 本条のその他の規定にかかわらず、本条第20項の規定に従い、議会は、議会の法律に基づき、軍法に服する者が犯した軍法違反の犯罪を裁判するため、軍事裁判所又は裁判を設置することができる。
20 軍法に服する現役でない者が、民事裁判所が管轄する犯罪を犯した場合、その犯罪について軍法会議又は軍事裁判による裁判を受けることはない。ただし、その犯罪が、軍規の執行に関する法律に基づく軍法会議又はその他の軍事裁判の管轄にある場合は、この限りでない。
21 本条において「刑事犯罪」とは、ガーナの法律に基づく刑事犯罪を意味する。
第20条 いかなる財産又は財産上の利益若しくは権利も、以下の条件を満たさない限り、国家によって強制的に所有又は取得されることはない。
(a)所有又は取得が、国防、公共の安全、公共の秩序、公共道徳、公衆衛生、都市計画、又は公共の利益を促進する方法での財産の開発若しくは利用のために必要である場合。
(b)取得の必要性が明白に示され、当該不動産の利害関係者又は権利者に生じる可能性のある不利益に対して、合理的な正当性を与える場合。
2 国家による財産の強制取得は、以下の事項を規定する法律に基づく場合に限るものとする。
(a)公正かつ十分な補償の速やかな支払い。
(b)財産に対する利益又は権利を有する者は、直接又は上訴により、その利益又は権利及びその者が受けるべき補償額の決定のため、高等裁判所に提訴する権利を有する。
3 本条第1項に従い、国家による土地の強制的な取得又は所有が住民の移転を伴う場合、国家は、移転を受けた住民を、その経済的福利並びに社会的及び文化的価値に適正に配慮して、適切な代替地に移住させるものとする。
4 本条は、以下の範囲において、財産の所有又は取得を規定する一般法の運用に影響を及ぼすものと解釈してはならない。
(a)信託財産、敵国資産、破産若しくは支払不能を宣告された者、心神喪失者、死亡者、又は清算中の法人若しくは非法人の財産の帰属又は管理による場合。
(b)裁判所の判決又は命令を執行する場合。
(c)危険な状態、又は人間、動物若しくは植物の健康を害することを理由とする場合。
(d)訴訟の制限に関するあらゆる法律の帰結。
(e)検査、調査、裁判又は審問のために必要な期間内。
(f)公共施設又は公益事業のため、土地上の作業に必要な期間内。ただし、当該作業により損害が生じた場合には、適切な補償を支払うものとする。
5 公共の利益又は公共の目的のために強制的に所有又は取得された財産は、公共の利益、又は取得された公共の目的のためにのみ使用されるものとする。
6 財産が公共の利益又は取得された目的のために使用されない場合、強制取得の直前の財産所有者に、その財産を再取得するための優先的な権利が与えられるものとする。その再取得の際に、法律の定めるところにより支払われた補償金の全部若しくは一部、又は再取得の際の財産の価値に相当する金額を返還しなければならない。