第105条【就任】、第106条【大統領の任期及び空位】、第107条【無能力を理由とする大統領の罷免】
第7編【行政府】
【就任、任期及び空位】
第105条 大統領当選者は、最高裁判所長官又はその不在の場合には副長官の面前において、就任宣誓を行うものとする。
2 大統領当選者は、以下の日以降の火曜日に就任宣誓するものとする。
(a)第103条に従って請願が提出されなかった場合は、大統領選挙の結果の宣言の日から7日目。
(b)憲法裁判所が当選を有効と宣言した日から7日目。
3 第4項に従い、大統領当選者が死亡、辞退又は大統領に就任できない理由がある場合、第1項に従って副大統領当選者が宣誓し、大統領に就任するものとする。
4 第5項に従い、大統領当選者が大統領に就任できない事由又は状況が不可抗力である場合、副大統領当選者は就任宣誓しないものとする。
5 大統領候補者が大統領当選者と宣言された政党又はその他の者は、大統領当選者が就任宣誓を行うべき日から3日以内に、憲法裁判所に対し、大統領当選者の就任不能が恒久的であるか否かを決定するよう請願するものとする。
6 憲法裁判所が大統領当選者の就任不能を恒久的であると決定した場合、第1項に従って副大統領当選者が大統領として宣誓及び就任するものとする。
7 第3項又は第6項に従って大統領に就任した副大統領当選者は、議会議員の3分の2以上の賛成による国民議会の承認を得て、副大統領を任命するものとする。
8 第3項又は第6項に定める大統領に就任することになっていた副大統領当選者が死亡、辞退又はその他の理由により大統領に就任できない場合、
(a)議長が行政府の職務を遂行するものとする。
(b)空位が生じてから60日以内に、大統領選挙を実施しなければならない。
9 議長は、任命権又は国民議会を解散する権限を除いて、第8項に従って引き受けた行政府の職務を遂行するものとする。
10 議長は、大統領当選者が就任した場合、30日以内に手続き上及び行政上の引継ぎを完了するものとする。
第106条 大統領の任期は5年とし、議会の任期と並行するものとする。ただし、大統領の任期は、第105条に従って大統領当選者が就任したときに満了するものとする。
2 大統領の任期は、大統領当選者が就任宣誓を行った日から、次の大統領当選者が就任宣誓を行う日までとする。
3 大統領職に2期在任した者は、大統領として選挙される資格を有しない。
4 以下の場合、大統領職は空位となるものとする。
(a)死亡
(b)国民議会の議長に書面をもって辞任を通知した場合。
(c)第81条、第107条又は第108条に基づき退任した場合。
5 第81条に基づく場合を除いて、大統領職に空位が生じた場合、以下の通りとする。大統領選挙は、空位が生じてから60日以内に実施しなければならない。
(a)副大統領は直ちに大統領に就任するものとする。
(b)副大統領が何らかの理由で大統領に就任できない場合、議長は、以下の権限を除いて、行政府の職務を遂行するものとする。
(i)任命を行うこと。
(ii)国民議会を解散すること。
6 副大統領が第5項(a)に従って大統領に就任した場合、又は第5項(b)に従って実施された選挙の結果、ある者が大統領に当選した場合、副大統領又は大統領当選者は残りの任期を務め、第3項を適用する上で、以下の通りとする。
(a)大統領が就任した日において、次の総選挙の期日までの残存期間が3年以上である場合、大統領としての全任期を務めたものとみなされる。
(b)大統領が就任した日において、次の総選挙の期日までの残存期間が3年未満である場合、大統領としての全任期を務めなかったものとみなされる。
第107条 議会議員は、その3分の1以上の賛成により、行政府の職務を遂行する、大統領の身体的又は精神的能力の調査を求める動議を提出することができる。
2 第1項に従って提出される動議には、申立ての詳細を明示しなければならない。
3 動議が国民議会において議会議員の3分の2の決議によって支持された場合、
(a)議長は、決議が採択されてから48時間以内に、その決議を最高裁判所長官に通知するものとする。
(b)最高裁判所長官は直ちにその決議を大統領に通知し、大統領は行政府の職務の遂行を停止し、副大統領が、以下の権限を除いて、行政府の職務を遂行するものとする。
(i)任命を行うこと。
(ii)国民議会を解散すること。
4 最高裁判所長官は、国民議会の決議を通知されてから7日以内に、医療従事者の規制を担当する団体と協議の上で、大統領の身体的又は精神的能力について調査するための医療委員会を設置するものとする。
5 医療委員会は、医療従事者として登録されている者の中から選任される、3人以上の者によって構成されるものとする。
6 第5項に基づき設置された医療委員会は、設置されてから14日以内に、大統領を検査し、行政府の職務を遂行する能力があるか否かを最高裁判所長官に報告するものとする。
7 医療委員会が、大統領に行政府の職務を遂行する能力があると報告した場合、最高裁判所長官は、医療報告書を受領してから48時間以内に、報告書の写しを国民議会に提出し、国民議会は、大統領が行政府の職務の遂行を再開することを決議するものとする。
8 医療委員会が、大統領に行政府の職務を遂行する能力がないと報告した場合、最高裁判所長官は、医療報告書を受領してから48時間以内に、報告書の写しを国民議会に提出し、国民議会は、第106条第5項に従って大統領は退任し、副大統領が大統領に就任することを決議するものとする。
9 本条は、副大統領に準用するものとする。