第32条【職務、権限及び責務】、第33条【報酬】、第34条【大統領職の空位】
第5章【大統領】
第32条 大統領は国家元首として、最高法規である憲法を遵守、保護及び擁護し、この憲法及びナミビアの法律における、憲法上保護、管理及び執行する義務のある最優先事項に従い、政府の行政上の職務を遂行するために必要、有用、合理的及び付随的な全ての行為を、威厳及び指導力をもって遂行するものとする。
2 政府の行政機関が立法機関に負う責任に従い、大統領及び内閣は毎年、予算の審議中、議会に出席するものとする。その会議中、大統領は議会において、国家の状況及び政府の今後の政策について演説し、前年度の政策について報告し、並びに質問に答えなければならない。
3 本条第1項が予定する職務及び権限の一般性を損なうことなく、大統領は、閣議を主宰し、この憲法に従い、以下の事項を行う権限を有するものとする。
(a)第57条第1項に規定する状況において、布告により国民議会を解散すること。
(b)国民議会の特別会期を決定し、及びその会期を延期すること。
(c)大使の信任、接受及び信任、並びに大使、全権大使、外交代表並びにその他の外交官、領事及び領事館員の任命。
(d)犯罪者を無条件で、又は大統領が適当と認める条件付きで恩赦又は赦免すること。
(e)国際協定の交渉及び調印並びにその権限の委任。
(f)戒厳令を宣言すること、又は国家防衛のために必要な場合、国家防衛事態が存在することを宣言すること。ただし、この権限は、第26条第7項の条件に従って行使されるものとする。
(g)大統領がナミビアの良き統治のために必要又は有用であると認める場合はいつでも、政府省庁及び部局を設置及び廃止すること。
(h)ナミビアの市民、住民及び友人に対し、利害関係者及び関連する個人及び機関と協議した上で、大統領が適当と認める栄典を授与すること。
(i)以下の者を任命すること。
(aa)副大統領
(bb)首相
(cc)副首相
(dd)大臣及び副大臣。
(ee)司法長官
(ff)企画局長官
(gg)情報機関の長官。
(hh)この憲法のその他の規定又はその他の法律により、大統領によって任命されることが要求されるその他の者。
3A 副大統領の任命に際し、大統領は、ナミビア国民の国民性をバランス良く反映させる必要性について適切に考慮するものとする。
4 大統領はまた、この憲法に従い、以下の者を任命する権限を有するものとする。
(a)司法公務委員会の推薦に基づき、
(aa)最高裁判所長官、高等裁判所長官並びにその他の最高裁判所及び高等裁判所の裁判官。
(bb)オンブズマン
(cc)検事総長
(b)公務委員会の推薦に基づき、
(aa)会計検査院長
(bb)中央銀行総裁及び副総裁。
(c)安全保障委員会の推薦に基づき、
(aa)国防軍総司令官
(bb)警察総監
(cc)矯正施設の長官。
5 議会が可決した法律への署名並びにその法律の公布及び官報への掲載に関するこの憲法の規定に従い、大統領は、以下の事項を行う権限を有するものとする。
(a)法律により大統領として布告する権利を有する布告に署名し、これを公布すること。
(b)必要及び有用と認める範囲において、国民議会へ提出し、その審議を受けるために法律を起草すること。
(c)特別な専門知識、地位、技能又は経験を有する8人以内の者を、投票権を持たない国民議会の議員として任命すること。
6 この憲法又はその他の法律の規定に従い、この憲法又はその他の法律により大統領に付与された権限に基づき大統領によって任命された者は、その者が任命されたのと同様の手続きにより、大統領が解任することができる。
7 この憲法及びその事項に関して適用されるその他の法律の規定に従い、大統領は、内閣と協議した上で、公務委員会の推薦に基づき、以下の事項を行うことができる。
(a)ナミビアの公務において、その他の法律に特別の定めがない役職を設置すること。
(b)その役職に任命すること。
(c)その任命された者の任期及び勤務条件を決定すること。
8 本条第3項、第4項、第5項、第6項及び第7項に基づき行われる全ての任命及び処分は、大統領が官報に布告して公表するものとする。
9 この憲法の規定に従い、この憲法に特別の定めがある場合を除いて、本条の規定により大統領に付与された権限に従って大統領が行った処分は、国民議会の総議員の3分の1以上によって提案され、国民議会の総議員の3分の2以上の多数によってその処分を不承認とし、その処分の審査、取消し又は是正の決議が可決された場合には、有用及び適正とみなされる条件によって、審査、取消し又は是正をすることができるものとする。
10 本条第9項に基づく処分の審査、取消し又は是正にかかわらず、議会が特別に立法しない限り、その審査、取消し又は是正以前にその処分に従って行われた全ての処分は有効であり、法律上の効力を有するものとみなされる。
第33条 大統領の報酬及び手当の国家歳入基金からの支払い、並びに元大統領への年金の支払い、及び元大統領が死亡した場合の配偶者への年金の支払いについて、議会法によって規定するものとする。
第34条 大統領職が空位となった場合、又は大統領がその他の理由でその任務を遂行できなくなった場合、以下の者が本項に規定する順序に従い、大統領の任期が満了するまでの間、又は大統領がその職務を再開するまで、大統領職を代行するものとする。
(a)副大統領
(b)首相
(c)副首相
(d)第2項に基づき閣僚の中から大統領が任命する者。
2 副大統領、首相、副首相が不在の場合、及び一時的な出国若しくは職務の重圧のために、大統領の代行が必要又は有用であるとみなされる場合、大統領は、その裁量により、賢明かつ有用と認める特定の機会又は特定の事項に関して、特定の期間、大統領を代行する、本条第1項に掲げるその他の者を任命する権利を有するものとする。