第89条【設置及び独立性】、第90条【任命及び任期】、第91条【職務】
第10章【オンブズマン】
第89条 オンブズマンを設置する。オンブズマンは、この憲法に定める権限及び職務を有するものとする。
2 オンブズマンは独立性を有し、この憲法及び法律にのみ服するものとする。
3 閣僚、議員又はその他のいかなる者も、オンブズマンの職務の執行を妨げてはならない。全ての国家機関は、オンブズマンの独立性、威厳及び実効性を保護するために、その必要とする支援を提供するものとする。
4 オンブズマンは、ナミビアの裁判官、又はナミビアの全ての裁判所において執務する権利を有する、法的資格を保有する者でなければならない。
第90条 オンブズマンは、司法公務委員会の推薦に基づき、大統領が布告により任命するものとする。
2 オンブズマンは、65歳まで在職するものとする。ただし、大統領は、オンブズマンの定年を70歳まで延長することができる。
第91条 オンブズマンの職務は、議会法により定められ、以下の事項を含むものとする。
(a)基本的権利及び自由の侵害、権力の濫用、(中央又は地方の)政府機関の職員によるナミビアの住民に対する不公正、過酷、無神経若しくは無礼な処遇、明白な不公正、又は民主主義社会において違法、抑圧的若しくは不公正とみなされるような、その職員による行為について申し立てられた、又は明白な事例に関する苦情を調査する義務。
(b)公務委員会、国家の行政機関、国防軍、警察部隊及び矯正施設の職務に関して、その業務の均衡のとれた構成、採用における全ての者の平等な機会、又はその業務に関する公正な管理が実現できていないことに関する範囲において、その苦情を調査する義務。
(c)天然の生物資源の過剰利用、再生不可能な資源の不合理な開発、生態系の悪化及び破壊、並びにナミビアの美観及び特質の保護の失敗に関する苦情を調査する義務。
(d)この憲法に基づく基本的権利及び自由の侵害が行われたと申し立てられた個人、企業及びその他の民間機関による慣行及び行為に関する苦情を調査する義務。
(e)以下の事項を含む、公正、適正かつ効果的な手段を通して、前号に規定される事例の救済、是正及び取消しを求める適切な措置を講じる任務及び権限。
(aa)当事者間の交渉及び和解。
(bb)苦情及びそれに対する見解を違反者の上官に報告すること。
(cc)その事案を検事総長に付託すること
(dd)管轄裁判所において、違反行為の停止、又は違反手続きの廃止若しくは変更を保障するために、差止命令又はその他の適切な救済を求める訴訟を提起すること。
(ee)違反行為が、著しく不合理又は越権的な下位の法律又は規制により正当化されようとしている場合、その法律又は規制の有効性に異議を申し立て、その法律又は規制の執行を差し止める訴訟を提起すること。
(ff)独立の日より前に施行されていた法律が、この憲法の文言又は精神に違反していないか確認するために、その法律を審査し、適切な措置を講じるよう大統領、内閣又は司法長官にその結果を勧告すること。
(f)職員による公金の不正流用が申し立てられ、又はその疑いがある場合、全ての事例を精力的に調査し、これに基づいて検事総長及び会計検査院長に報告することを含め、適切な措置を講じる義務。
(g)その権限及び職務の執行について、毎年国民議会に報告する義務。