第96条【恩赦権に関する諮問委員会】、第97条【恩赦権】、第98条【訴訟からの大統領の保護】
第7編【行政府】
【行政権】
第96条 恩赦権に関する諮問委員会を設置する。諮問委員会は、大統領が任命する者によって構成されるものとする。
2 諮問委員会は、裁判所又は軍法会議によって犯罪の有罪判決を受けた者に関する訴訟又は決定について、大統領に助言を与えるものとする。
3 諮問委員会の委員は、大統領の意向によって在任するものとする。
4 大統領は、諮問委員会の会議を主宰することができる。
5 諮問委員会は、会議の手続きについて自ら決定するものとする。
第97条 大統領は、諮問委員会の助言に基づき、以下の事項を行うことができる。
(a)犯罪の有罪判決を受けた者に対し、条件付き又は無条件で恩赦を与えること。
(b)裁判所がその者に科した刑罰を、より軽いものに置き換えること。
(c)罰金、刑罰又は没収の全部又は一部を免除すること。
2 死刑の宣告を受けた者は、直接又は代理人を通して、大統領に対し、刑の恩赦又は変更を請求することができる。
第98条 何人も、大統領又は第109条に規定する行政府の職務を遂行する者に対し、 大統領又はその者がその在任中に私的な資格でなした行為又は不作為に関して、民事訴訟を提起又は継続してはならない。
2 大統領はその在任中、私的な資格で個人に対する民事訴訟を提起又は継続してはならない。
3 第1項及び第2項において、法律が訴訟を提起できる期間を制限している場合、その任期は期間の計算に算入されないものとする。
4 第9項に従い、大統領又は第109条に規定される行政府の職務を遂行する者は、刑事訴訟から免責される。その免責は、その者が退任し、又はその職務を遂行しなくなった後も継続する。
5 大統領職にあった者又は行政府の職務を遂行した者が、在任中又は行政府の職務を遂行した期間中に犯罪を行ったという一応の証拠がある場合、大統領は、行われたとされる犯罪に関する根拠を概説した報告書を国民議会に提出し、その者の刑事訴訟からの免責を解除するよう国民議会に請求するものとする。
6 国民議会が第5項に従って提出された報告書を受領した場合、国民議会は特別委員会を設置する。特別委員会は提出された根拠を精査し、その根拠に基づき、刑事訴訟からの免責の解除を正当化する一応の証拠があるか否かを決定し、その決定を国民議会に勧告するものとする。
7 大統領職にあった者又は行政府の職務を遂行した者は、第6項に基づき設置された特別委員会に出頭し、代理人を立て、及び審理を受ける権利を有する。
8 第6項に基づき設置された特別委員会が、大統領職にあった者又は行政府の職務を遂行した者の刑事訴訟からの免責の解除を勧告する場合、国民議会は、議会議員の3分の2以上の支持を得た決議により、申し立てられた犯罪に関する免責を解除することができる。
9 第8項に従い免責が解除された場合、大統領職にあった者又は行政府の職務を遂行した者は、刑事訴訟からの免責を解除された犯罪により訴追されるものとする。
10 大統領職にあった者又は行政府の職務を遂行した者の刑事訴訟からの免責が解除された犯罪について、裁判所が無罪判決を下した場合、その者の免責は全ての目的のために、新たな訴訟を経ることなく、解除されなかったものとみなされる。
11 本条に基づく免責の解除手続は、第108条に基づく弾劾訴追が可能な犯罪には適用されないものとする。