サンクトペテルブルクのギャンブルを世界規模で行う場合の参加費。
1 サンクトペテルブルクのパラドックス
以前、サンクトペテルブルクのパラドックスについての記事を書いたことがある。
・サンクトペテルブルクのパラドックス:https://tanakah17191928.blogspot.com/2020/02/blog-post_17.html
・サンクトペテルブルクのパラドックスを視覚化してみた。:https://tanakah17191928.blogspot.com/2023/05/blog-post_18.html
(from いらすとや)
サンクトペテルブルクのギャンブルがパラドックスと言われるのは、そのは期待値を普通に計算すると無限に発散するからである。
・【ゆっくり解説】無限大の賞金が得られるゲーム「サンクトペテルブルクのパラドックス」(るーいのゆっくり科学)
・【ゆっくり解説】無限大の賞金が得られるゲーム「サンクトペテルブルクのパラドックス」(るーいのゆっくり科学)
2 ウィリアム・フェラーの解答
今回はウィリアム・フェラーの解答を用いて、このギャンブルを世界規模で行う場合の参加費を概算してみたい。
ウィリアム・フェラーの解答は少々難解で、高校数学レベルの知識では正確に理解できないけれど、その結果だけを拝借して計算に利用することにする。
ゲームを$n$回繰り返す場合、第$n$回目の獲得賞金を$X_n$とすると、
$\dfrac{X_1 + X_2 + \cdots + X_n}{n} = \log_2 n$
3 世界規模のサンクトペテルブルク・ギャンブル
現在、世界の富は454兆4000億ドルあるらしい。
これを1ドル=150円で計算すると、$454400000000000 \times 150 = 68160000000000000$(円)となる。
このギャンブルを世界規模で行い、全世界の人々が全資産を使って参加すると考える。
参加費の合計=獲得賞金の合計=68160000000000000円として、Wolfram Alphaを使って計算してみると、
$n\log_2 n = 68160000000000000$
$n \fallingdotseq 1.35593 \times 10^{15} = 1355930000000000$
よって、1回あたりの参加費=獲得賞金は、
$68160000000000000 \div 1355930000000000 = 6816000 \div 135593 = 50.2\cdots$
約50円となる。
$2^{n} \leq 68160000000000000$
4 期待値
参加費の合計=獲得賞金の合計=68160000000000000円という現実的(?)な上限がある場合として、サンクトペテルブルク・ギャンブルの期待値を普通に計算してみる。$2^{n} \leq 68160000000000000$
$2^{55} = 36028797018963968$
$2^{56} = 72057594037927936$
$55 < n < 56$
$n = 55$のとき、期待値は$1 \times 55 = 55$(円)
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