第174条【司法上の職務】、第175条【裁判所の独立】、第176条【司法制度】、第177条【裁判所の判決】、第178条【裁判所の行政的及び財政的な独立】、第179条【裁判官】
第4編【国家の権力機関】
第4章【司法権】
第1節【一般原則】
第174条 裁判所は、国民に代わって司法を執行する権限を有する主権機関である。2 裁判所は、司法上の職務を執行する際に、公的又は私的な利害の対立を解決し、法律上保護される権利及び利益の保護並びに告発及び対審の原則を保障し、民主的な適法性の侵害を抑圧する権限を有する。
3 全ての公共団体及び民間団体は、その職務の執行において裁判所に協力する義務を負い、裁判所から要求された行為をその権限の範囲内で遂行しなければならない。
4 法律により、裁判外の紛争解決の手段及び方式並びにその構成、組織、権限及び運営について定めるものとする。
5 裁判所は、金銭的な余裕がないことを理由に司法を拒否してはならない。
第175条 裁判所は、司法上の職務を執行する際に、独立かつ公平でなければならず、憲法及び法律にのみ服するものとする。
第176条 アンゴラ共和国の上級裁判所は、最高裁判所、憲法裁判所、会計検査院及び最高軍事裁判所とする。
2 裁判所の組織及び運営制度は以下のとおりである。:
(a)最高裁判所が指揮する普通裁判所で、控訴裁判所及びその他の裁判所から構成される。
(b)最高軍事裁判所が指揮する軍事裁判所で、地方軍事裁判所から構成される。
3 上級裁判所が指揮する、行政、税務及び関税に関する自治的な裁判所を設置することができる。
4 海事裁判所も設置することができる。
5 特定の犯罪を裁判する専属管轄権を有する裁判所の設置は禁止される。
第177条 裁判所は、憲法、法律及び施行中のその他の規範的な規定の遵守並びに市民及び機関の権利及び正当な利益の保護を保障し、行政行為の適法性について判決する。
2 裁判所の判決は、全ての市民及びその他の法人を拘束し、他のいかなる当局の決定よりも優先する。
3 法律により、裁判所の判決の執行条件を定め、その不履行に責任を負う者を処罰し、その妨害に加担した公共機関又は民間機関に刑事責任を負わせるものとする。
第178条 裁判所は、行政上及び財政上の自治権を享受する。法律により、司法府がその予算編成の過程に参加するための機構を定めるものとする。
第179条 裁判官は、その職務の執行について独立していなければならず、憲法及び法律にのみ服するものとする。
2 裁判官は、憲法及び法律の定める場合を除いて、異動、昇任、停職、退職又は免職されることはない。
3 裁判官は、法律の定める場合を除いて、その職務の執行として行った判決について責任を負わない。
4 裁判官は、2年以上の拘禁刑に相当する犯罪について有罪であることが判明した後に限り、逮捕することができる。ただし、同刑罰に相当する故意の犯罪の現行犯の場合を除く。
5 在職中の裁判官は、法律に関する教育及び科学研究を除いて、他の公的又は私的な職務を執行することはできない。
6 在職中の裁判官は、政党若しくは政治的性格を有する団体に加入し、又は政党の活動に従事してはならない。
7 裁判官は、社会専門職の結社の権利を認められ、ストライキの権利を行使することは禁止される。
8 裁判官は、法律の定める条件及び期間内に、職務上の実績に基づいて、最高司法裁判官会議によって定期的に評価される。
9 いかなる裁判所の裁判官も、70歳に達したときに退職するものとする。
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