第106条【司法権、最高裁判所、控訴裁判所及び高等法院】、第107条【司法の独立、司法高等評議会】、第108条【裁判官の独立】、第109条【裁判官の身分保障】、第110条【検察官の職務執行、司法警察】、第111条【兼任及び兼職の禁止、政治的中立性】、第112条【司法総監察局】、第113条【国家司法会議】
第3編【国家組織】
第4章【司法府】
第1節【基本原則】
第106条 マダガスカル共和国において、司法は、憲法及び法律に従い、マダガスカル国民を代表して、最高裁判所、控訴裁判所及びこれらの下級裁判所並びに高等法院によって執行される。第107条 共和国大統領は司法の独立を保障する。
この目的のために、大統領を議長とする司法高等評議会の支援を受ける。司法大臣が副議長を務める。
司法高等評議会は、裁判官の地位を保護、管理及び規律する機関であり、以下の責任を負う。:
・法律及び裁判官規約の規定の遵守を保障すること。
・裁判官による倫理規則の遵守を統制すること。
・司法行政、特に裁判所及び裁判官に関する立法措置又は規制措置について勧告を行うこと。
政府の閣僚、議会、民主主義及び法の支配を擁護する高等評議会、裁判所の長並びに適法に設置された団体は、司法高等評議会に事案を付託することができる。同評議会の組織、運営及び権限に関する規則は、組織法によって定めるものとする。
第108条 裁判官及び参審員は、その司法活動において独立し、憲法及び法律にのみ服する。そのために、法律の定める場合及び懲戒権の対象となる場合を除いて、いかなる方法によっても、その職務の執行を妨げられることはない。
第109条 裁判官の身分は保障される。その階級に応じて得られる官職に就くものとする。司法高等評議会が正式に定める職務上の必要性がある場合を除いて、その裁判官の同意なしに、新たな職務に従事させることはできない。
第110条 検察官は階級に服する。ただし、結論又は口頭での論告において、自己の信念に基づき、法律に従って行動する。司法警察を自由に使用し、その活動及び運営を統制することができる。
明らかに法律に反する行為を要求する場合、弁護士は法律の定める刑罰を受けるものとする。
第111条 裁判官の職務の執行は、政党及び政府の活動、公選の公職の執行又はその他の有給の職業活動と両立しない。ただし、教育活動を除く。
全ての現職の裁判官は政治的中立の義務を負う。
公選の公職を執行する裁判官は自動的に出向となる。
第112条 司法総監察局は、議会、政府、民主主義及び法の支配を擁護する高等評議会並びに裁判官の代表によって構成される。裁判官の特別倫理規則の遵守及び司法職員の行動を統制する責任を負う。
共和国大統領に報告するものとする。
共和国大統領、議会、政府、裁判所の長、適法的に設置された団体及び正統な利害関係者は、司法総監察局に事案を付託することができる。
司法総監察局の組織、運営及び権限に関する規則は、法律によって定めるものとする。
第113条 国家司法会議は、最高裁判所第一長官、大統領、最高裁判所検事総長、裁判所の長並びに行政府、立法府、高等憲法裁判所、司法高等評議会、民主主義及び法の支配を擁護する高等評議会並びに一般の司法職員の代表によって構成される協議機関である。この権限において、裁判所の組織及び運営並びに裁判官及び司法職員の地位に関する立法措置又は規制措置を政府に提案することができる。
国家司法会議の組織、運営及び権限に関する規則は、法律によって定めるものとする。
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