第114条【構成、任期及び任命】、第115条【兼任及び兼職の禁止】、第116条【職務】、第117条【合憲性の審査】、第118条【高等憲法裁判所への付託】、第119条【高等憲法裁判所への諮問】、第120条【選挙及び国民投票に関する紛争】
第3編【国家組織】
第4章【司法府】
第2節【高等憲法裁判所】
第114条 高等憲法裁判所は9人の裁判官によって構成される。任期は7年とし、更新することはできない。そのうちの3人は共和国大統領によって任命され、2人は国民議会により、2人は元老院により、2人は司法高等評議会によって選出される。
高等憲法裁判所長官は、同裁判所の裁判官の中から互選される。
この選出及びその他の裁判官の任命は、共和国大統領令によって行われる。
第115条 高等憲法裁判所の裁判官の職務は、政府の閣僚、議会議員、公選の公職、教職を除くその他の有給の職業活動及び政党又は労働組合の活動と両立しない。
第116条 憲法のその他の条項によって規定される事項に加えて、高等憲法裁判所は、組織法によって定める条件の下で、:
(1)条約、法律、命令及び自治規則の合憲性を判決する。
(2)2つ以上の国家機関の間、国と1つ以上の地方分権団体の間又は2つ以上の地方分権団体の間の管轄権の紛争を解決する。
(3)地方分権団体が採択した決議及び規制行為の合憲性を判決する。
(4)国民投票、共和国大統領選挙並びに代議員及び元老議員の選挙に起因する紛争を解決する。
(5)大統領選挙、議会選挙及び国民投票の公式の結果を公示する。
第117条 組織法、法律及び命令は、公布前に共和国大統領から高等憲法裁判所に提出しなければならない。同裁判所は、その合憲性について判決を下す。
違憲と判決された規定は公布することができない。この場合、共和国大統領は、法律若しくは命令のその他の規定を公布するか、全文を議会若しくは閣僚評議会の再審議に付すか、又は公布を行わないかを決定することができる。
前述の場合、高等憲法裁判所への付託により、法律の公布期間は停止される。
各議院の内部規則は、施行前に合憲性の審査が行われる。違憲と判決された規定は適用することができない。
第118条 機関の長、議会議院の議員の4分の1、地方分権団体の機関又は民主主義及び法の支配を擁護する高等評議会は、立法又は規制上の価値を有する条文及びその権限に属するあらゆる事項について、憲法裁判所に合憲性の審査を付託することができる。
当事者が裁判所に対して違憲の訴えを提起した場合、裁判所は訴訟を停止して、高等憲法裁判所に付託しなければならない。同裁判所は1か月以内に判決を下す。
同様に、裁判所において、当事者が立法又は規制上の条文が憲法によって認められる基本的権利を侵害していると主張する場合、裁判所は前項と同じ条件の下で訴訟を停止しなければならない。
違憲と宣言された規定は、当然失効する。
高等憲法裁判所の判決は官報として発行される。
第119条 高等憲法裁判所は、行為の合憲性又はこの憲法の規定の解釈について意見を表明するために、機関の長及び地方分権団体の機関から諮問を受けることができる。
第120条 選挙及び国民投票に関する紛争は、高等憲法裁判所が判決を下す。
第119条に規定する場合を除いて、その権限に属するその他の事項について決定を下す。
高等憲法裁判所の判決及び決定には理由が付される。これに対して上訴することはできない。全ての公権力並びに行政及び司法当局を拘束する。
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