第54条【首相の任命及び罷免】、第55条【大統領の権限】、第56条【軍の最高司令官、国防高等評議会】、第57条【大使の任命、外国及び国際機関の大使の信任状受領】、第58条【恩赦権、栄典の授与】、第59条【法律の公布、大統領から議会への法律の還付】、第60条【大統領による国民議会の解散】、 第61条【非常事態の宣言】、第62条【大統領の行為への首相及び大臣の副署】
第3編【国家組織】
第1章【行政府】
第1節【大統領】
大統領は、首相が政府の総辞職を表明した場合又は重大な不正行為若しくは明らかな失政があった場合、これをを罷免する。
首相の推薦により、政府の閣僚を任命及び罷免する。
第55条 共和国大統領は、:
(1)閣僚評議会を主宰する。
(2)この憲法に定める場合及び条件の下で、閣僚評議会が承認した命令に署名する。
(3)閣僚評議会が決議した政令に署名する。
(4)閣僚評議会において、閣僚評議会の政令によって決定した名簿により、国の上級官職の任命を行う。
(5)国家的性質を有する重要な問題について、閣僚評議会において、国民投票によって国民の意思を直接反映させることを決定することができる。
(6)閣僚評議会において、国の一般政策を決定及び採択する。
(7)このように決定された一般政策の実施及び政府の行動を統制する。
(8)行政を統制する機関を設置する。
共和国大統領は、その権限の一部を首相に委任することができる。
第56条 共和国大統領は軍の最高司令官であり、その団結を保障する。この地位において、国防高等評議会の補佐を受ける。
国防高等評議会は特に、共和国大統領の権限の下に、社会の平和を維持するために軍に委ねられる行動の調整を保障する任務を負う。その組織及び権限は、法律によって定めるものとする。
共和国大統領は、対外的な介入のための軍の部隊及び資源の投入について、国防高等評議会及び議会と協議した上で、閣僚評議会において決定する。
閣僚評議会は、軍事、経済、社会、文化、領域及び環境のあらゆる側面における国防の理念を決定する。
共和国大統領は、国際機関において国を代表する軍人を任命する。
第57条 共和国大統領は、共和国の大使及び特使を他国及び国際機関に対して信任及び召還する。
大統領は、マダガスカル共和国が承認する国家及び国際機関の代表から信任状及び召還状を受領する。
第58条 共和国大統領は恩赦権を行使する。
共和国の勲章及び褒章を授与する。
第59条 共和国大統領は、国民議会が最終的に採択した法律を送付してから3週間以内に法律を公布する。
この期間が経過する前に、共和国大統領は議会に対して、法律又はその条項の一部について再審議を要求することができる。この再審議を拒否することはできない。
第60条 共和国大統領は、首相に通知し、議院議長と協議した上で、国民議会を解散することができる。
解散が宣言されてから60日以上90日以内に、総選挙を実施するものとする。
国民議会は、選挙後の第2木曜日に当然開催される。この会議が通常会期のために設定された期間外に開催される場合、15日間の会期が自動的に設定される。
選挙後2年間は再度解散することができない。
第61条 共和国の機関、国家の独立、国民統合又は領域保全が脅かされ、公権力の正常な運営が損なわれる場合、共和国大統領は、国家の領域の全部又は一部において、非常事態、すなわち緊急事態、必要事態又は戒厳令を宣言することができる。この決定は、国民議会議長、元老院議長及び高等憲法裁判所長官と協議した上で、共和国大統領が閣僚評議会において行う。
非常事態宣言は共和国大統領に特別な権限を付与し、その範囲及び期間は、組織法によって定めるものとする。
前述の非常事態が宣言された場合、共和国大統領は、法律の範囲内の事項に関して、命令によって立法することができる。
第62条 共和国大統領の行為には、第54条第1項及び第2項、第58条第1項及び第2項、第59条、第81条、第60条、第94条、第100条、第114条、第117条及び第119条に規定する場合を除いて、首相及び必要に応じて関係大臣が副署する。
・マダガスカル共和国憲法(2010)【私訳】へ戻る。