第56条【一般原則】、第57条【不遡及】、第58条【補償の権利及び国家の責任】、第59条【自由及び安全に対する権利】、第60条【刑法の適用】、第61条【刑罰及び保安処分の制限】、第62条【裁判を受ける権利】、第63条【司法上の委任及び弁護士業務】、第64条【予防的収監】
第3編【基本的な権利、義務及び自由】
第3章【個人の権利、自由及び保障】
第56条 個人の権利及び自由は直接適用され、公的及び私的な団体を拘束し、国によって保障され、憲法及び法律の範囲内で行使される。2 権利及び自由の行使は、憲法が保護する他の権利又は利益を保護するために制限することができる。
3 法律により、憲法に明示的に規定されている場合に限り、権利、自由及び保障を制限することができる。
4 権利及び自由に対する法律上の規制は、一般的かつ抽象的なものでなければならない。また、遡及効を有することはできない。
第57条 モザンビーク共和国において、法律は、市民及びその他の法人に有利な場合に限り、遡及効を有することができる。
第58条 全ての人は、基本的権利の侵害によって生じた損害の賠償を、法律に従って請求する権利を認められる。
2 国は、法律に基づく求償権を損なうことなく、その代理人が職務を執行する際に行った違法行為によって生じた損害について責任を負う。
第59条 モザンビーク共和国において、全ての人は、安全に対する権利を有し、法律に基づく場合を除いて、逮捕され、裁判にかけられることはない。
2 被疑者は、最終判決が下されるまで、無罪の推定を享受する。
3 いかなる市民も、同一の犯罪の実行について2回以上裁判を受けることはない。また、法律で規定されていない刑罰、又は犯罪の実行時に法律で定められていたよりも重い刑罰で処罰されることはない。
第60条 何人も、その実行時に犯罪とみなされていなかった行為によって有罪判決を受けることはない。
2 刑法は、被疑者に有利な場合にのみ遡及して適用される。
第61条 終身、無期の、又は永久に自由をはく奪又は制限する刑罰及び保安処分は禁止する。
2 刑罰は移譲することができない。
3 いかなる刑罰も、市民的、職業的又は政治的な権利の喪失を伴わない。また、刑罰の意義及びその執行の具体的要件に内在する制限を除いて、受刑者の基本的権利を奪うものではない。
第62条 国は、市民の裁判所へのアクセスを保障し、被疑者の弁護権並びに法律扶助及び法定代理に対する権利を保障する。
2 被疑者は、訴訟のあらゆる段階において、自己を援助する弁護人を自由に選任する権利を有する。経済的理由によって弁護士を依頼することができない被疑者は、十分な法律扶助及び法定代理が保障されなければならない。
第63条 国は、司法上の代理権を行使する者に対し、その行使に必要な免責を保障し、司法を運営する上で不可欠な要素として訴訟代理権を規定する。
2 その職務を執行する際に、法律の範囲内において、弁護士が依頼人から委託された文書、郵便物及びその他の物件で、依頼人の弁護のために取得したもの又はその職務に関連するものは不可侵である。
3 弁護士の執務室又は書庫における捜索、押収又はその他の類似の措置は、裁判所の決定によってのみ命じることができる。2年以上の拘禁刑に相当する違法行為の実行に関するもので、その実行が弁護士によるものであることを示す証拠がある場合に、管轄裁判官、弁護士及びこの目的のために弁護士会が任命するその代表者の立会いの下で行わなければならない。
4 弁護士は、依頼者が逮捕され、又は文民施設若しくは軍事施設に拘禁されている場合も、依頼者と個人的かつ私的に連絡を取る権利を有する。
5 法律により、司法上の委任及び弁護士業務に関するその他の要件について定めるものとする。
第64条 予防的収監は、その期間を規定する法律の定める場合にのみ許可される。
2 予防的収監を受ける市民は、法律の定める期間内に、司法当局に引致されなければならない。司法当局は、収監の有効性及び継続を決定する権限を有する唯一の機関である。
3 自由をはく奪された者は全て、収監又は拘禁の理由及び権利について、理解できる方法で直ちに通知されなければならない。
4 自由のはく奪を命令又は維持する判決は、被拘禁者の親族又は信頼する人物に、その指示する者によって直ちに通知されなければならない。
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