第65条【刑事訴訟の原則】、第66条【ヘイビアス・コーパス】、第67条【犯罪人引渡し】、第68条【住居及び通信の不可侵】、第69条【異議申立ての権利】、第70条【裁判所に訴える権利】、第71条【電子データの利用】、第72条【権利行使の停止】
第3編【基本的な権利、義務及び自由】
第3章【個人の権利、自由及び保障】
第65条 刑事訴訟における弁護権及び裁判を受ける権利は不可侵であり、全ての被疑者に保障される。2 刑事訴訟における公判の審理は公開される。ただし、個人、家族、社会上若しくは道徳上のプライバシーの保護、又は審理の安全若しくは公共の秩序という重大な理由により、公開を除外又は制限することが望ましい場合を除く。
3 拷問、強制、人の身体的若しくは精神的な完全性に対する侵害、又は私生活及び家庭生活、住居若しくは郵便物若しくは電気通信に対する不当な干渉によって得られた証拠は、全て無効とする。
4 いかなる事件も、法律によって特別に規定されている場合を除いて、従前の法律によって管轄権が定められている裁判所から移送することはできない。
第66条 違法な収監又は拘禁があった場合、市民は、ヘイビアス・コーパス訴訟を提起する権利を有する。
2 ヘイビアス・コーパス訴訟は裁判所に提起し、裁判所は、最長8日以内に判決を下すものとする。
第67条 犯罪人引渡しは、判決によってのみ行うことができる。
2 政治的理由による犯罪人引渡しは認められない。
3 犯罪人引渡しは、要請国の法律上死刑又は終身刑に相当する犯罪の場合、又は被引渡者が拷問、非人道的な、品位を傷つける若しくは残虐な取扱いを受ける恐れがあると合理的に認められる場合、許可してはならない。
4 モザンビーク市民は、国外追放又は犯罪人引渡しの対象とはならない。
第68条 住居及び郵便物又はその他の私的通信手段は、法律で特別に規定されている場合を除いて、不可侵である。
2 市民の意思に反してその住居に立ち入ることは、法律で特別に規定されている場合及び方法においてのみ、管轄の司法当局によって命じることができる。
3 何人も夜間、本人の同意なしに、他人の住居に立ち入ってはならない。
第69条 市民は、憲法及びその他の法律に定める権利を侵害する行為に対して異議を申し立てることができる。
第70条 市民は、憲法及び法律が認める権利及び利益を侵害する行為に対して、裁判所に訴える権利を有する。
第71条 政治的、哲学的又は思想的な信条、信仰、党員又は労働組合員であること及び私生活に関する個人を特定できるデータを記録及び処理するために、電子データを使用することは禁止する。
2 法律により、電子データ化された記録に含まれる個人データの保護、データベースへのアクセスの条件、並びに当局及び民間団体によるデータベース又は電子データの媒体の設置及び利用について定めるものとする。
3 電子データ化されたアーカイブ、ファイル及び記録又はデータベースにアクセスし、第三者に関する個人データを調べることを許可してはならない。また、法律又は判決によって定める場合を除いて、個人データを、異なるサービス又は機関に属する別の電子データ化されたファイルに転送することはできない。
4 全ての人は、自己に関して収集されたデータにアクセスし、これを訂正する権利を有する。
第72条 個人の自由及び保障は、憲法の定める条件に従い、戦争事態、戒厳令又は緊急事態の宣言によってのみ、停止し、又は一時的に制限することができる。
2 自由又は保障が停止又は制限される場合、一般的かつ抽象的な性質のものでなければならない。また、期間及びその依拠する法的根拠を明示しなければならない。
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