第92条【財政法の審議】、第93条【会計検査院による議会への支援】、第94条【大統領から議会へのメッセージ】、第95条【立法事項、法律による一般原則、宣戦布告の承認】、第96条【読会制、合同委員会】、第97条【非立法事項、政令による修正】
第3編【国家組織】
第2章【立法府】
第3節【政府と議会の関係】
第92条 議会は、第2回通常会期中に財政法案を審議する。政府の長である首相の権限の下で、財政及び予算を所管する大臣が財政法案を作成する。
議会の審議期間は最長60日とする。
国民議会は法案提出から最長30日以内に第1読会を開催し、法案を審議する。この期間内に審議を行わなかった場合、法案は採択されたものとみなされ、元老院に送付される。
同じ条件の下で、元老院の第1読会は法案が送付されてから15日間、各議院の第2読会はそれぞれ5日間とする。
議院がこの期間内に決定を下さなかった場合、その議院は提出された条文に賛成票を投じたものとみなされる。
議会が第2会期終了までに財政法案を採択しなかった場合、両議院が採択した修正案のうち1つ以上を組み込んだ命令により、法案の規定を施行することができる。
支出の増加又は財源の減少を伴う予算案の修正は、収入の増加又はそれに相当する節減の提案を伴わなければならない。財政法案が会計年度の開始前に採択に間に合うように提出されなかった場合、首相は租税を徴収し、政令によって議決されたサービスに充当する権限を付与される。財政法案の採択の条件は、組織法によって定めるものとする。
第93条 会計検査院は、議会による政府の行動の統制を支援する。財政法の実施を統制し、公共政策を評価する上で、議会及び政府を支援する。その公開報告書を通して、市民に情報を提供する。
行政機関の会計は、正規かつ正確でなければならない。また、その運営結果、財産及び財政状態を忠実に示すものでなければならない。
第94条 共和国大統領は、いかなる審議も経ることなく、メッセージによって議会と連絡を取るものとする。
第95条 憲法のその他の条項によって規定される事項に加えて、:
(I)法律により、以下の事項に関する規則を定めるものとする。:
(1)個人、団体、政党及びその他の団体に対して、権利及び自由の行使のために認められる市民権及び基本的保障並びにそれらの義務。
(2)国際関係
(3)国籍
(4)中央銀行及び通貨発行制度。
(5)人の移動。
(6)民事及び商事訴訟に関する規則。
(7)行政及び財政訴訟に関する規則。
(8)犯罪及び軽罪の決定並びにそれらに適用される罰則、刑事訴訟並びに恩赦。
(9)法律及び管轄権の競合に関する規則。
(10)新たな裁判所秩序の創設及びその管轄権並びにその組織及び適用される訴訟規則。
(11)家族の組織、人の地位及び能力、夫婦財産制度、相続及び贈与。
(12)財産、物権並びに民事上及び商事上の義務の法制度並びに財産を公共の必要によって収用若しくは徴発し、又は国に譲渡する条件。
(13)各種の公共施設の設置。
(14)大学の地位及び自治制度並びに高等教育における教員の地位。
(15)初等及び中等教育の発展のための主要な指針。
(16)戦略的な資源。
(17)地方分権団体の組織及び運営。
(18)共和国の首都、国家の領域の一部、国の宮殿及び国の所有するその他の建造物、港湾及びそのネットワーク、空港並びに海洋資源の制度の特別な地位。
(19)地方分権団体の租税の性質及び基準。
(20)マダガスカル国家勲章評議会
(21)都市計画及び住宅。
(22)外国人による土地の利用条件。
(23)未開発の土地の国への譲渡条件。
(24)国家総監察局及び行政を統制するその他の機関の組織、運営及び権限。
(II)法律により、以下の事項に関する一般原則を定めるものとする。:
(1)国防の組織及び文民当局による軍又は治安部隊の使用。
(2)文官及び武官の国家公務員及び領域的団体の公務員の一般的地位。
(3)労働法、労働組合の権利、ストライキの権利及び社会保障。
(4)公共部門から民間部門への、企業又は団体の所有権の移転及びその逆。
(5)法的、経済的、社会的及び文化的な活動の各種部門の組織又は運営。
(III)宣戦布告は、議会において総議員の絶対多数決によってのみ承認される。
第96条 全ての法案は、最初に提出された議院で審議され、その後他の議院に送付される。
審議は、唯一の条文が採択されるまで、各議院で順次行われる。
両議院間の意見の不一致の結果、各議院による2回の読会後も法案の採択が不可能な場合、又は各議院による1回の読会後に政府が緊急であることを宣言した場合、首相は、まだ審議中の規定に関する条文を提案する責任を負う合同委員会の会議を招集することができる。合同委員会が作成した条文は、政府が両議院に提出し、承認を得ることができる。いかなる修正も、政府の同意がなければ認められない。
委員会が共同条文を採択しない場合、又は前項に規定する条件の下でこの条文が採択されない場合、国民議会は、その議院の絶対多数決よって最終決定を行う。
第97条 法律の範囲内にある事項以外の事項は、規制的性質を有する。これらの事項に関する制定された法律の条文は、高等憲法裁判所と協議した上で、政令によって修正することができる。
この憲法の施行後に制定される法律の条文は、前項に基づいて高等憲法裁判所が規制的性質を有すると宣言した場合に限り、政令によって修正することができる。
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