平成27年度第2回高認国語問4【漢文】
1 原文(書き下し文)
帝封徳彝に謂ひて曰はく、「朕聞く、『流水の清濁は、その源に在るなり』と。君は政の源、人庶は猶ほ水のごとし。君自ら詐を為して、臣下の直を行はんことを欲するは、是れ猶ほ源濁りて而も水の清からんことを望むがごとし。理として得べからざるなり。朕常に魏の武帝の詭詐多きを以て、その人と為りを鄙しむ。此の言豈に教令と為すに湛ふべけんや」と。上書人に謂ひて曰はく、「朕大信をして天下に行はれしめんことを欲す。詐道を以て俗に訓ふるを欲せず。卿の言は謂れ無し。朕の取らざる所なり」と。
(『貞観政要』』より)
2 現代語訳
帝が封徳彝に言った。「朕は、『流水の清濁は、その源にある』と聞いたことがある。君主は政の源、万民は水のようなものである。君主が自ら偽りをなして、臣下に真っ直ぐな行いを求めるのは、源が濁っているのに、水が澄むのを望むようなものだ。どうしても受け入れられない道理である。朕は常に、魏の武帝は偽り欺きが多かったので、その人となりを軽蔑している。どうしてその進言を教令となすことに湛えることができようか。」太宗に進言した人に言った。「朕は、大信が天下に行われることを望む。詐道を用いて、民衆を教化することを望まない。あなたの進言には根拠がない。朕が採用するべきものではない。」
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