『異世界転生者はブラックサンダー使い【第3章】』第3節
『氷河期世代のおっさんだけど、異世界転生したらブラックサンダーの能力を付与された件』
第3章 西方の宿屋
第3節 女主人の誘惑
入浴後、私はベッドで横になり、書物を読んでいた。エイコさんの声が聞こえた。
「お部屋に入ってもよろしいでしょうか?」
「えっ?はい、どうぞ。」
書物を机に置き、ベッドに腰かけてからドアの方に目をやると、エイコさんが立っていた。
なんと?!エイコさんは裸だった。
裸のエイコさんがこちらに近付いてくる。私は茫然とその裸体を見つめていた。
しかし、エイコさんが私の真横に腰かける直前、感付いた。
この女性は・・・いや、この者は人間ではない。
「魔物か?!」
「キーッヒッヒッヒッ!よく気付いたな。しかし、もう遅い!!」
エイコさんは本来のモンスターの姿に戻り、私に襲いかかってきた。
「久しぶりの生きた人間の肉!人間の踊り食いじゃー!!」
私はブラックサンダーの能力で時間を止めた。
危なかった・・・もう少し気付くのが遅かったら、鋭いくちばしで心臓を一突き、殺されるところだった。
私はそのまま外に飛び出して逃げた。
このモンスターを始末しようか迷ったけれど、ここは西方の魔王軍統治領なので、殺すのはやめておいた。
よくよく考えれば、こんなおかしな宿屋にのこのこと泊まりにきた私は、随分間抜けな人間だ。
そういえば、あの晩ご飯の肉料理・・・とてもおいしかったけれど、一体何のお肉だったんだろう??
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