『平凡なおっさんだけど霊界探偵に採用されました【第1章】』第1節
氷河期世代のおっさんだけど、豊川稲荷で道に迷ったら霊界探偵に採用された件
第1章 霊界探偵
第1節 豊川稲荷
私の名前は山本学。豊橋市在住のフリーターである。専門学校卒業後に就職したのだが、その会社がとんでもないブラック企業だったのだ。
1年間我慢したけれど、心身共におかしくなってしまい、結局そこは退職することになった。
幸い、半年間療養したら体調は回復したけれど、もう一度正社員として働く気力が湧くことはなかった。
不運なことに、当時は就職氷河期だった。
正社員を目指し、あわてて就職活動したところで、またとんでもないブラック企業に酷使されただけだろう。
そんなわけで、今現在は実家暮らしのフリーターである。
しかし、酒、ギャンブル、風俗にあまり興味がなく、その他、金のかかる趣味もないので、お金に困ったことはない。
今日は豊川市内のイベントに参加した後に、豊川稲荷に参拝して、ついでにきつね塚に行くつもりだった。
本殿で参拝し、きつね塚まで歩いていくのだけれど、いくら歩いてもきつね塚にたどり着かない。
「おかしい・・・いくら豊川稲荷が広いといったって、これだけ歩けば稲荷の敷地から出ているはずだ。」
それでも、今さら引き返す気にもならなかったので、どんどん歩いていくと、古い建物にたどり着いた。
「あれ?きつね塚じゃなくて、変な建物にたどり着いたぞ。やはり道を間違えたのかなぁ?」
建物の入り口の上に看板がかかっているけれど、看板もものすごく古いものらしく、文字が判読できない。
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