『平凡なおっさんだけど霊界探偵に採用されました【第1章】』第4節
『氷河期世代のおっさんだけど、豊川稲荷で道に迷ったら霊界探偵に採用された件』
第1章 霊界探偵
第4節 ホテルアソシア
こうして私はその日の夜、豊橋駅のホテルアソシアで開催される異業種懇談会に潜入することとなった。名刺の人物は、豊橋市で小さいながらも会社を経営する、30代後半の美人社長である。
中村アンをもっとグラマーにした感じの人なので、アンと呼ぶことにする。
私はさりげなく彼女に近付き、自己紹介をして、他愛もない雑談をした後に、こう言った。
「実は、私、趣味で占いやお祓いをしているんです。自分で言うのもなんですが、よく当たると評判なんですよ。」
「へぇ、そうなんですか。それじゃあ、ちょっと占ってくださいよ。」
「はい、喜んで。」
私は万能錫杖をかざし、シャン・シャン・シャンと3回、音を鳴らした。
すると錫杖から、目も眩むほどの明るい光が発せられた。
不思議なことに、この光は普通の人には見えないようで、アンさんも、周囲の人も全く気付いていなかった。
その瞬間、アンさんの体から黒い影のようなものが抜け出して、どこかに飛んでいってしまった。
アンさんが貧血を起こしたようにフラフラし始めたので、私は彼女を椅子に座らせて、休ませることにした。
数分も経たないうちにアンさんは元気になり、お祓いのおかげで気分が軽くなったと、私にお礼を言ってくれた。
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