『異世界転生者はブラックサンダー使い【第2章】』第6節
『氷河期世代のおっさんだけど、異世界転生したらブラックサンダーの能力を付与された件』
第2章 帝都での一夜
第6節 永遠の旅人
私はブラックサンダーの能力を、帝国や魔王軍と戦うために使うつもりはない。時を止めている間に刺し殺すなど、もはや戦いではない。殺戮である。
私は、元の世界に戻る望みを捨てたわけではない。
元の世界に戻ったら、これまで通り、一人静かに慎ましく生きていくのだ。
異世界で、私にとって何の縁もゆかりもない連中のために、無数の命を殺戮する・・・そんな恐ろしいカルマを背負うわけにはいかない。
酒場に戻ると、姉妹が私を見てとても驚いた。
私たちの姿が突然消えてしまったので、私はモンスターに連れていかれて、どこかでひどい目にあっているのではないかと心配していたらしい。
「あのモンスターは、私が説得して、宿に帰っていただきました。」
と私が言うと、姉妹は非常に喜び、妹のミカさんは感激して涙を流していた。
姉のキョウコさんは、サービスするから酒場に泊まっていけと言ってくれたけれど、私は40代のおっさんでそんな元気もないので、丁重にお断りして宿に帰った。
宿に帰った私は、物思いにふけっていた。
(さて、次はどこへ行こうか。私は永遠の旅人・・・異世界を永遠に流転する・・・)
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