『異世界転生者はブラックサンダー使い【第1章】』第3節
『氷河期世代のおっさんだけど、異世界転生したらブラックサンダーの能力を付与された件』
第1章 反乱軍の娘
第3節 スタート地点(森の中)
意識が戻ると、私は深い森の中に一人立っていた。「ここは・・・どこだ?参ったなぁ・・・まだ夢の中にいるみたいだ。しかし・・・本当に夢なのだろうか?妙にリアルだ。夢じゃないとしたら・・・」
「いい加減、放しなさい!誰か・・・誰かいるなら助けて!」
「うるせぇぞ!おとなしくしてねぇと半殺しにするぞ!!」
助けを呼ぶ女性の声と、彼女を怒鳴りつける大きな怒声が聞こえた。
声が聞こえた方向に目を向けると、ドラゴンクエストに出てくるような女性の旅人と、彼女にかけられた手錠をひもで引っ張っている3匹のモンスターがいるではないか!
モンスターたちもドラゴンクエストに出てくるような、いかにも凶悪そうなモンスターである。
「剣とか魔法が使えなければ生きていけない・・・か。なんか、とんでもない世界だなぁ。」
「おい!あそこにもう一匹、人間がいるぞ!ついでに捕まえてこい!!」
リーダー格のモンスターAが、こちらを指差して叫んだ。見つかってしまったようだ。
「どうしよう・・・剣か魔法・・・スキル・・・神様はブラックサンダーとか言ってたけど・・・どうすりゃいいんだ?」
こちらに走ってきたモンスターBとモンスターCは、それぞれ私の右腕と左腕を力任せにつかんだ。
「ぐっ・・・?!」
腕がちぎれるかと思うほどの力である。この激痛・・・これは夢ではなく、本当に現実なのではないか。
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