『平凡なおっさんだけど霊界探偵に採用されました【第3章】』第3節
『氷河期世代のおっさんだけど、豊川稲荷で道に迷ったら霊界探偵に採用された件』
第3章 黄金のきつね像
第3節 深夜の警備
当日の夜、私とボス、そして大谷さんは、豊川稲荷(霊界)内にある建物の一室で黄金のきつね像を見張っていた。「想像以上の大きさですね、このきつね像。びっくりしました。」
「えぇ、本当に。すごいですね。一体いくらぐらいの価値があるんでしょう?」
私と大谷さんの会話を聞いて、ボスが言った。
「霊界の宝物の価値は、この世の貨幣なるもので計算することはできません。私のつかんだ情報が間違いであることを祈るばかりです。キャッツ・ファングとの対決は、実に数十年ぶりです。」
深夜の警備で、夜明けまでの数時間、気を緩めることができない。
私たちは交替で休憩を取りながら、きつね像を見張ることにした。
「でも、キャッツ・ファングは、こんな厳重に警備されている宝物を、どうやて盗むつもりなんだろう?」
私がそう言うと、ボスが答えてくれた。
「怪盗というよりも、強盗と考えた方がよい。突然襲撃してきて、力ずくで持っていってしまう。」
その時、突然天井の照明が消えてしまった。
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