『平凡なおっさんだけど霊界探偵に採用されました【第2章】』第3節
氷河期世代のおっさんだけど、豊川稲荷で道に迷ったら霊界探偵に採用された件
第2章 鳳来寺山
第3節 ブラック利修
私たちが立ち止まって少し話をしていると、山道の向こうから黒っぽいマントに身を包んだ仙人がやってきた。「ただの登山者ではないと思って見ていたが、どうやら霊界警察の犬みたいだな。」
「犬とは失礼ね。私は霊界探偵の大谷です。あなたを調査した上で、たちの悪い妖魔であれば、ここで退治させてもらいます。」
「クックックッ・・・人間風情が生意気な!そのちんけな錫杖、へし折ってくれる!!」
そう言うが早いか、ブラック利修はマサナさんに襲いかかってきた。
「山本君、気を付けて!宝蔵院流槍殺法!!」
マサナさんはそう叫ぶと、槍に変形した錫杖を手に、ブラック利修に突撃した。
しかし、ブラック利修はその攻撃を読んでいたようで、これを難なくかわすと、私の方に跳びかかってきた。
「まずはこっちの未熟者から血祭りに上げてくれる!」
ブラック利修は、私の経験不足を見抜いていたようである。
「しまった!山本君、よけて!!」
私は無我夢中で錫杖を振るった。
すると万能錫杖が剣に変形し、ブラック利修の右腕を切り落とした。
「剣撃?!くそっ!!こやつの錫杖は・・・」
「山本君!伏せて!!」
マサナさんは、右腕を切り落とされて狼狽しているブラック利修の胸を槍で貫いた。
「グッ・・・おのれ・・・ウボァー!」
妖魔はその場に崩れ落ち、倒れた体はそのまま灰となってしまった。
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