『永遠の旅人・神無月京介(5)【久保田アキラ編】』第1章
西三河の美人市長・久保田アキラが奇妙な法廷で、異世界の旅人・神無月京介に弁護されるの巻
第1章 美人市長
ここは西三河にある地方都市。平和なこの町は今、市長のスキャンダルで揺れていた。
市長の名前は久保田アキラ。彼女は今まで、美人市長ともてはやされてきた。
スキャンダル自体は、そんなに大したものではなかった。
改革派である彼女には、多くの政敵がいた。
既得権を手放したくない、いわゆる抵抗勢力が大声で騒いでいるのである。
マスコミはこれを鵜呑みにし、おもしろおかしく報道し続けた。
マサチューセッツ工科大学を卒業したという学歴が、虚偽だというのである。
市長は卒業証書を見せたけれど、政敵たちはそれも偽物だと言い張った。
彼らはさらに、市長が諸々の都合で仕方なく、ラブホテルに宿泊して仕事をしたことさえ、そんなところで仕事をするはずがない、嘘だと糾弾した。
連日の心ない報道に、市長の心は疲れ果ててしまった。
(どうしてこんなことに・・・やはり、あの案件に手を出したのは命取りだったのか・・・)
今夜も市長室で一人、孤独の中で思い悩んでいた。
・『永遠の旅人・神無月京介(5)【久保田アキラ編】』目次に戻る。