『永遠の旅人・神無月京介(3)【吉川サオリ編】』第4章
国民的な女性格闘家・吉川サオリが修行中に、異世界の旅人・神無月京介と共闘するの巻
第4章 入室
サオリは阿修羅堂の扉を開いた。中は広い道場のようになっていて、真ん中に仏像のようなものがあった。
「すごい!中はきれいですね。あれはなんだろう、やっぱり仏像かな。」
サオリは阿修羅堂に足を踏み入れてしまった。
「あっ、サオリさん、ダメですよ。」
「大丈夫ですよ、京介さん。今日は誰もいないみたいですよ。」
「もう、本当に仕方がない人だ。」
サオリと京介が阿修羅堂に入ると、扉が自然にピシャッと閉まった。
サオリはびっくりして振り返った。
「風っ?でも、風なんて・・・」
「どちらが相手じゃ?」
仏像から声が聞こえてきた。いや、それは仏像ではなかった。
阿修羅が二人を恐ろしい形相でにらんでいた。
「あぁ、私も今日初めて阿修羅堂に入りましたが、噂は本当だったみたいですね。あれが阿修羅ですよ。」
「えっ・・・あれが・・・」
サオリは身震いした。恐ろしい相手である。
しかし、格闘技の素人を犠牲にして逃げ出すわけにはいかない。
サオリは阿修羅の前まで歩いていった。
「あっ、サオリさん・・・無理しないでくださいね。サオリさんが危なくなったら、私がなんとかしますから。」
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