『妖怪保護活動家・氷室忍(2)【妖怪・コンドーム】』第5章
妖怪保護活動家・氷室忍が、豊橋の松葉町で妖怪・コンドームを保護するの巻
第5章 忠告
兵藤は怪訝そうな顔をして言った。「まぁ、噂の真偽はともかく・・・東京の妖怪事件はお前の放流した妖怪のせいだろう?」
「東京で放流した妖怪ねぇ・・・半年前に歌舞伎町で放流した妖怪・双頭ディルドかなぁ?」
兵藤は怒った顔で言った。
「そいつだよ!もう勘弁してくれよ。」
氷室は申し訳なさそうに言った。
「それは悪いことをした。しかし、安心してくれ。東京までの電車賃がバカにならないので、最近は名古屋で放流してるんだ。数週間前に錦通りで妖怪・ピンクローターを放流したから・・・」
兵藤は怒った顔のまま言った。
「だから、妖怪の放流自体が問題なんだよ!」
氷室は反論した。
「いや、放流自体は法律に反しないだろう。」
兵藤はあきらめ顔で言った。
「まぁ、それはそうなんだが・・・最初に言ったが、警察内で問題視されているから、そのうち政省令、あるいは法律が改正されることになるだろう。」
「法律改正・・・兵藤、お前も偉くなったもんだなぁ。」
氷室がそう言うと、兵藤は肩をすくめて言った。
「過激な活動家のせいだろう、まったく。まぁ、そういうわけだから、お前も少しおとなしくしてたほうがいいぞ。」
兵藤は「それじゃあ」と言って手を上げると、氷室に背を向けて去っていった。
氷室は懐かしい昔の同僚の背中を見ながら、物思いにふけっていた。
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