『永遠の旅人・神無月京介(3)【吉川サオリ編】』第2章
国民的な女性格闘家・吉川サオリが修行中に、異世界の旅人・神無月京介と共闘するの巻
第2章 阿修羅堂
サオリは古い建物の前に立っていた。かなり古い建物である。こんな建物の中に人が住んでいるはずはない。
しかし、人の気配を感じる。気配というよりも殺気である。
サオリは、扉を開けて中に入ろうかどうか逡巡していた。
その時、後ろから誰かに声をかけられた。
「阿修羅堂に入るんですか?」
サオリが振り返って見ると、一人の男が立っていた。
「えっ?あっ!ごめんなさい。勝手に入ったらダメですよね。」
「いえいえ、阿修羅堂は誰のものでもありませんから、誰でも自由に入れますよ。」
「そうなんですか。でも、中に人がいるんでしょうか?なにか気配を感じるんですが・・・」
「さすが、一流の格闘家ですね。あなたは、あの吉川サオリさんですよね。」
「いえ、そんな・・・恐縮です。あの、あなたは・・・」
「あぁ、失礼しました。私は神無月京介と申します。山道を散歩していたら、阿修羅堂の前にいるあなたを、偶然にお見かけしたんですよ。」
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