『妖怪保護活動家・氷室忍(3)【妖怪・卵かけババァ】』第2章
妖怪保護活動家・氷室忍が、もっくる新城で妖怪・卵かけババァを退治するの巻
第2章 座敷わらし
ハルカは女の子を見つめながら、氷室に聞いた。「それでこの子は・・・」
「それが大門で放流したんですが、この子だけはどこへも逃げずに、とうとうここまでついて来てしまったんです。」
「そうだったんですか。」
「そうだ!ハルカさん、一つお願いしてもいいですか?」
氷室は神妙な面持ちでハルカに頼んだ。
「ハルカさん、この子をしばらく預かってくださいませんか?実は、これから妖怪調査に行くんですが、この子をどうしたらよいか考えていたところなんです。」
氷室の突拍子もないお願いに、ハルカは驚いてしまった。
「はぁ・・・座敷わらしをですか。」
「こいつは何も食べないし、おかしないたずらもしませんから、ハルカさんでも大丈夫ですよ。」
「座敷わらしが来た家は繁栄するって、聞いたことあります。」
ハルカが言うと、氷室が説明した。
「座敷わらしが去った家は没落するとも言います。プラマイゼロですよ。」
「座敷わらしが家にずっといてくれれば・・・」
ハルカが言いかけると、氷室が言った。
「妖怪だろうと何であろうと、どこかに縛り付けておくのはよくありません。一番大事なのは、自由なんですから。」
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