『スライムハンター・東一郎(4)【科学者との対決】』第5章
鬼畜不倫で全てを失った人気俳優・東一郎が、南信州の山小屋で狂気の科学者と対決するの巻
第5章 至誠
木村が東に話しかけた。「東さん、よく見抜きましたね、あいつの嘘を。」
東は微笑みながら言った。
「まる一日、彼と話して分かりました。彼は、頭の良い自分が適当に嘘をつけば、私を騙すことができると思っているんです。私はバカな役者ですが、それぐらいのことは分かります。真の諜報員の資質は至誠だと、何かの本で読んだことがあります。彼にはそれがない。」
木村は感心して言った。
「至誠ですか・・・陸軍中野学校以来の伝統的な精神ですね。あなたの口からそれを聞くとは、思いもしませんでしたが。」
追い詰められた古田は、走って逃げ出した。
「あっ、待て、逃げるな!」
木村がそう言った瞬間、古田は近くの藪から出てきたスライムに飲み込まれてしまった。
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