『永遠の旅人・神無月京介(2)【大島ルリコ編】』第2章
大人気アイドルだった大島ルリコが霧深い山中で、異世界の旅人・神無月京介に救出されるの巻
第2章 大熊の集団
ルリコは友人たちと一緒に、雨が降る中、山道を急いで登っていた。急いで登っているので、だんだん吐く息も荒くなってきた。
足元をしっかり見ながら歩いていたけれど、ふと顔を上げて前方に目をやった。
その瞬間、めまいがして視界がブラックアウトした。
慌ててまばたきをして前方を見ると、前を歩いていた友人たちの姿が見えない。
それどころか、今まで歩いてきた道さえ消えてしまっていた。
ルリコは、自分が真っ暗な山中に取り残されていることに気付いた。
「どうしよう?・・・あれはっ?!」
向こうに大きな獣の集団が見える。大きな熊が数頭いるようだ。
熊たちもルリコに気付いたらしく、こちらの様子をうかがいながらゆっくり近付いてくる。
「どっ、どうしよう・・・」
ルリコの足はガタガタ震えていた。逃げても追いつかれてしまうだろう。
「大丈夫ですか?」
後ろから人間の声が聞こえた。振り返ると男が一人、立ってこちらを見ていた。
ルリコは少しホッとしたけれど、足はまだガタガタ震えていた。
「熊です、とても大きな。何頭もいます。」
「あなたは逃げてください。あいつらは私がなんとかします。」
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