『永遠の旅人・神無月京介(1)【米俵リョウコ編】』第4章
国民的な熟女優・米俵リョウコが夢うつつの状態で、異世界の旅人・神無月京介と出会うの巻
第4章 監視官との戦い
監視官が近くまでやって来て、二人に声をかけた。監視官は僧侶のようで、紺色の袈裟を着ていた。
「一人はただの旅人のようです、もう一人は脱獄者のようですね。そちらの女性、こちらに引き渡してください。」
「誰が来たのかと思えば、神通第一の木蓮上人ではないですか。彼女は私の旅の道連れです。旅は道連れ世は情け、ご心配無用ですよ。」
「そういうわけにはいきません。」
木蓮が法印を結んだ。話し合いは決裂したようである。
京介がリョウコ向かって叫んだ。
「離れていてください!この僧侶は強力な法術を使います。」
リョウコが離れた瞬間、まばゆい閃光の後に大きな雷鳴がとどろき、すさまじい雷が京介めがけて落ちてきた。
京介はこれを瞬間移動で避けると、右手の人差し指から霊丸を木蓮めがけて発射した。
ここは夢の世界。精神世界であり、現実世界の常識は通用しない。
それをイメージする能力があれば、法術を駆使して戦うことができるのである。
京介が放った霊丸は木蓮の胸を貫通したが、胸に空いた穴はすぐに閉じて元に戻ってしまった。
「さすが木蓮、普通の攻撃では倒せないようだ。」
京介がつぶやくと、木蓮が言った。
「ただの旅人ではないようですね。まぁ、そもそも夢現境を旅している者に、普通の人間などおりませんが。」
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